文・ライター:@LEDMAXI
人間嫌いで捻くれ者になってしまったウィリー・ウォンカの本質を知る旅にチョコレートを持って出かけよう。
ホリデー・シーズンにふさわしく、素直・やる気・勇気・愛しさが溢れるミュージカル・ファンタジー。
原作とティム&ジョニーの作品を深堀りし、色物的なダークサイドを削ぎ落した引き算で完成させた珠玉のチョコレートを味わえる。
ウォンカとチョコレート工場のはじまり
あらすじ
美味しいチョコレート店を作ることを夢見るウィリー・ウォンカ。周囲から邪魔をされながらも母の言葉を胸に夢を叶えようと奮闘する物語。
原題
Wonka
公開日
2023年12月8日
上映時間
116分
予告編
キャスト
- ポール・キング(監督)
- ティモシー・シャラメ
- ヒュー・グラント
- キャラー・レイン
- キーガン=マイケル・キー
- パターソン・ジョセフ
- マット・ルーカス
- マシュー・ベイントン
- サリー・ホーキンス
- ローワン・アトキンソン
- オリビア・コールマン
- ナターシャ・ロスウェル
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
本作はコミコン東京の絡みもあるのだろうが、当初の日米同時公開が9月に変更され、日本公開がアメリカより1週間早く公開された。
要するに、海外の評価は試写会によるもの。
その影響下での日本国での評価はどうだろうか?
やはり二分している。
2005年のティム・バートン ×ジョニー・デップの「 チャーリとチョコレート工場 」と対比してしまうのではないだろうか?
たしかに2005年作品は原作に則って製作されている。
異なるポイントはウォンカと父のとの歪(いびつ)な関係性。
これはティム作品に散見される父性の歪(ひづ)みに対するテーゼなのだろう。
原作の続編で描かれるファクターも組み込まれている。
それゆえか、本作は前日譚の概念で物語が構築されている。
前作と異なるポイントを上げる。
- 母の存在と母子家庭とする背景
- 呆れるほどに純真無垢で奉仕の精神に富む若い頃のウォンカ
本作の系列作品として捉えるならば、1971年のジーン・ワイルダー主演の「 夢のチョコレート工場 」
2013年サム・メンデス演出のロンドン・ウエストエンドでのミュージカル舞台「 チャーリとチョコレート工場 (2023年10月に堂本光一をウォンカに日本版も公演されている)
若きウォンカと同じく、純真な気持ちで初見と思い本作を鑑賞してほしい。
なぜなら、ティム・バートンが提示する世界観は毒と狂気を3倍増幅するからだ。
この増幅は、麻薬の如く、感情に浸透し意識に根付いてしまう。
そうなると、本作がソフトで善良清涼で云々との否定論が立ち上がってくると推察する。
本作に限らず映画…
映画に限らず発信される「 作品 」を、過去作の先入観に固執して否定論に結び付けないでほしい。
明確に伝えよう。
本作はクリスマスを間近に控えたホリデー・シーズンにおいて「 くるみ割り人形 」や「 ホーム・アローン 」「 ラブ・アクチュアリー 」に匹敵する心温まり、夢や希望は雑害に屈せず、投げださない。逃げださない。腐らない。背かない。
ナニクソ精神を教えてくれる。
「 自信モテ生キヨ 生キトシ生クルモノ スベテ コレ 罪ノ子ナレバ 」太宰治の言葉を思い出した。
まとめ
ミュージカル舞台の鑑賞は中々に難しいと思うけれど、原作本と1971年の「 夢のチョコレート工場 」を観てみてはいかがですか?
本作はチョコレート菓子のように、創り手によって口に入れた最初の印象は異なりつつも、最期に残る良質なカカオの余韻は同じだと感じ取れるだろう。