文・ライター:@ayahhi
ロンドンとパキスタンを舞台に繰り広げる、愛や結婚にまつわる多様な文化を描いたラブストーリー。
素敵な話ではあるが、多くに目をつぶったおとぎ話感が少々残念。
きっと、それは愛じゃない

あらすじ
ドキュメンタリー監督のゾーイは、幼馴染のカズがお見合い結婚することを知り、その過程を追うことに。自身の恋愛観に疑問を感じ始めたゾーイの感情は、次第に変化していく。
公開日
2023年12月15日
原題
What’s Love Got to Do with It?
上映時間
109分
予告編
キャスト
- シェカール・カプール(監督)
- リリー・ジェームズ
- シャザト・ラティフ
- エマ・トンプソン
- シャバナ・アズミ
- サジャル・アリー
- オリバー・クリス
- アシム・チョードリー
- ジェフ・ミルザ
- アリス・オア=ユーイング
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー

パキスタンでのカズの結婚式の模様は、豪華絢爛で色彩も美しく、一見の価値ありです。
エンターテイメントとして楽しむには、丁度いいラブストーリーだとは感じます。
イスラム文化への差別や偏見、家族が結束しなければ生き抜けない現実、一方で、先進国における旧来の「 家族 」「 結婚 」に関する価値観の呪縛への抵抗を描いているのに、
本当に「 さわり 」だけで、結局は何もなかったかのような気楽なハッピーエンドに帰着してしまうのが残念でした。
シリアスな現実はあえて持ち込んでいないのかもしれません。
せっかくそうした社会的な面にも言及するのであれば、主人公の恋愛さえうまくいけば万事OK、かのような描き方は「 多様性 」というネタを利用したのか?とも感じてしまいます。
もっとも、このあたりは、本作に登場する「 イスラムの多様性を描く監督が、白人では感客ウケがちょっと 」とビジネス勘定をする映画プロデューサーそのものな感もあり、そのシーンは「 いかにもありそうなことだ 」と頷きましたが。
一見、多様性やその難しさを扱う社会派作品かのように見えて、実際のところはだいぶおとぎ話じみた展開のため、好みは分かれる作品だと思います。
ただ、昨今のあまりにもシリアスな現実の中、いろんな問題が解決してみんなハッピー、という、このような作品で明るい気持ちになって救われる人も多いのかもしれません。
現在劇場公開は非常に好調のようで、珍しいことに満席なども出ているようですし、主人公の痛々しい恋愛や結婚、卵子凍結など出産のプレッシャーについては現代の女性のリアルを描いていて興味深かったです。
まとめ
ゆっくりと穏やかな気持ちで時間を過ごしたい時には、うってつけの1本だと思います。
私個人としては物足りなさを感じたものの、ラブストーリーに社会的内容が含まれること自体、やはり時代は前進しているのだとも感じます。