世界最高峰のオーケストラ・ベルリン・フィルで女性初の指揮者として抜擢されたリディア・ター。
作曲者としても活躍する彼女だったが、新曲の作成に難航中の厚日、若手指揮者の訃報が入りある疑いをかけられてしまう。
TAR ター

あらすじ
有名オーケストラ(ドイツ)で史上初の女性首席指揮者となったリディア・ターの物語。成功と名誉の裏には多くの困難が隠されていた。
原題
Tar
公開日
2023年5月12日
上映時間
158分
予告編
キャスト
- トッド・フィールド(監督)
- ケイト・ブランシェット
- ノエミ・メルラン
- ニーナ・ホス
- ソフィー・カウアー
- アラン・コーデュナー
- ジュリアン・グローバー
- マーク・ストロング
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー

自分の中で理解が追いつかず、数々の考察などを読んで自分の解釈と照らし合わせ、やっと初めて形になるような作品だった。
あらゆる観点から芸術とは一体何かを問うていた。
音楽は目に見えず、聞き手の感性から評価されるものだ。
そこで頂点を目指すというのは、普通の感性を持つ人にはできないものだろう。
同じくオスカーにノミネートされていた「エンパイア・オブ・ライト」でも似たようなシーンがあり、一定のキャパを超えると理解できない行動を取ったり、それが大衆の前で行われるのが見ていて辛い。
自分の中にある完璧なものを目指して追い込まれていく主人公のリディア・ター。
無駄なものをどんどん省いて削っていくが、一個何か予定にないものが混じった時にズルズルと全てがだめになる。
完璧であるが故のプレッシャーはその当事者にしかわからないものだが、頂点にたどり着いたらもう下がっていくしかないのか?
この作品を鑑賞して切なくなった。
主人公を演じるのはケイト・ブランシェット。
彼女の作品は過去に数本鑑賞していたが、上品な貴婦人のイメージが強い役が多いイメージだった。
今作はパワハラ気質のある指揮者の役だったので、今までのイメージとは少し離れていた。
レズビアンのカップルとしてパートナーと養女と暮らしているリディアは、娘が学校でいじめられていることを知ると学校に乗り込み、いじめっ子に対して脅しのような注意をする。
そこでの彼女は娘の父親として話しており、ベルリン・フィルの初の女性指揮者に抜擢されたリディアにとって、心の部分で性を超えて自身に問うているように思えた。
まとめ
現実社会でも度々問題として上がっている作品と作者を切り離した考えは、果たして本当に必要なのか。
芸術は後世に残っていくものだからこそ、生み出すのに多くの犠牲を払う。
今後の芸術界の大きな課題として、この作品が残っていくことを望んでいたい。