「 ニューヨーク 親切なロシア料理店 」の映画情報・あらすじ・レビュー

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誰もがみな傷を負いながらも、諦めずに人生を立て直そうとする姿に希望をもらう。

全くキラキラしていないマンハッタン物語である。

目次

ニューヨーク 親切なロシア料理店

ニューヨーク 親切なロシア料理店
©ニューヨーク 親切なロシア料理店

あらすじ

老舗ロシア料理店ウィンター・パレス。マネージャーのマークが店を切り盛りしていた。そこへ、夫の暴力から逃れるためにクララが2人の子どもを連れて逃げ込んでくる。

公開日

2020年12月11日

原題

The Kindness of Strangers

上映時間

115

キャスト

  • ロネ・シェルフィグ(監督)
  • ゾーイ・カザン
  • アンドレア・ライズボロー
  • タハール・ラヒム

予告編

考察・感想レビュー

ニューヨーク 親切なロシア料理店
©ニューヨーク 親切なロシア料理店

好きだった点

傷ついた人たちが助け合い、支えあい、人生を諦めずに立て直そうとする点。

その姿は見ている人に勇気を与え、どんな人にも響く応援歌となるので好感がもてました。

嫌いだった点

主人公クララが怯えるDV夫が恐ろしい。

実の子どもを殴り、兄弟を殴らせるよう強制するという話はゾッとします。

でも世の中にはこうした良心とはかけ離れた人も一定数は存在するのだろうと思うと、本当に恐ろしい気持ちになります。

見どころ

ニューヨーク・マンハッタンが舞台といえば、大抵は大都会の摩天楼やオシャレな街並みや人々を想像しますよね。

今作の視点はとても独特で傷つき、理不尽に耐えながらもマンハッタンでひっそりと必死で生きている人たちの物語です。

貧困や暴力、さまざまな絶望や不安と共にある人たちが登場します。

それは一見華やかしい街のリアルな姿。

マンハッタンにさえ、いや、華やかさの代表のようなマンハッタンだからこそ、その対極にあるものも確実に存在しているわけです。

家がない、家族がいない、仕事がない、明日生きていく保障がない。

そんな人たちが大勢暮らしている現実を、そこから一歩踏み出す希望と共に描いているのが魅力だと感じます。

今作はマンハッタンを舞台に2020年に製作された作品。

主人公クララが直面する貧困や暴力の恐怖は、決して遠い国を描いた作品ではなく、正に現実の話となってしまいました。

印象的なシーン

クララの暴力夫が実の父を殺しかけたことにより、彼女と子どもたちが保護シェルターに身を寄せるシーンがサラっと描かれている。

このシェルターには様々な人種の女性や子どもたちで溢れかえっています。

彼女たちは、仕切りもない体育館のような場所に設置されたベッドを居場所として不安な日々を過ごしているのです。

普段目にすることのない光景ですが、社会にはこのような現実が存在することを思うと重い気持ちになります。

今作では幸いにして、心ある人たちの前向きさや親切心という救いが描かれています。

現実の世界もそうであってほしい、そうでなければと感じました。

アリスが勤務する病院に急患として運ばれてくる「 おそらく住所不定 」という黒人男性。

意識も朦朧としており、血を流す怪我をしています。

はっきりと言葉にはしませんが、この男性はおそらくはホームレスで、誰かに暴行されたのでしょう。

その処置にあたるアリスは、耐えられないといった表情で、医療従事者用の粗末な休憩所に逃げ込み、

「 これだけ懸命に人のために働いている看護師の待遇はこんなものなのか 」

と、げんなりし、むせび泣くシーンがあります。

やはり昨今のコロナ禍における医療従事者の方々を思い浮かべないわけにはいきませんでした。

この作品は2019年の作品なので、コロナ禍前に作られているのですが、恰も今の状況を予見させるかのような内容であることにハッとさせられました。

なぜ「 ロシア料理店 」だったのか?

政治的な意味はなく、ロシア料理店でなくてもよかったと監督がインタビューで答えています。

適当すぎるだろ(笑)

大都会の辛い現実を目にして憂うつな気持ちにもなりますが、それを晴らす希望もバランスよく描いている良作。

観光で見るマンハッタン、実際に住んでみて内側まで知るマンハッタン。

今作は後者となり、その内側は思いのほか暖かいものだったなと笑顔になれる1本です。

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