「 リチャード・ジュエル 」考察レビュー、一夜にして英雄から犯罪者になった男の実話
今回はたくさんある話題作の中からクリント・イーストウッドが監督を務めた「 リチャード・ジュエル 」を紹介したいと思います。
FBIのプロファイルにより容疑者にされてしまったリチャード・ジュエル。
新聞に掲載されたことで、彼の人生は一変してしまいます。
FBIとマスコミに追い詰められていくリチャード・ジュエルですが、彼が容疑者になった決め手はプロファイリングからでした。
犯人像に当てはまってしまえば誰でも容疑者になる恐怖は、他人事ではないなと感じる映画になっていました。
リチャード・ジュエル
公開日
2020年1月17日
上映時間
131分
キャスト
- クリント・イーストウッド(監督)
- ポール・ウォルター・ハウザー
- サム・ロックウェル
- キャッシー・ベイツ
- ジョン・ハム
- オリビア・ワイルド
予告編
公式サイト
感想レビュー
プロファイリングの恐怖
警備員だったリチャード・ジュエルは公園で爆弾の入ったリュックを発見します。
爆弾は爆発してしまいますがリチャード・ジュエルのおかげで、事件の被害者を最小限に抑えることができました。
翌日から爆弾の第一発見者としてヒーローになったリチャード・ジュエルでしたが、彼を地獄へと突き落とすことが起こります。
それはFBIが彼を容疑者として捜査しているという内容が、新聞社によってスクープされてしまったからでした。
ヒーローから容疑者になってしまったリチャード・ジュエル。
彼が容疑者になったのはFBIのプロファイリングの結果からでした。
- 貧しい下層の白人
- 太っている
- 仕事を転々としている
- 英雄にあこがれている
たったこれだけのことで容疑者にされてしまったのです。
法執行官に憧れていたリチャード・ジュエルは、警察になるためにたくさんの本を読み銃も所持しています。
それらのことが彼を容疑者としてどんどん追い詰めてしまいました。
今まで映画やドラマなどで扱われるプロファイリング捜査は、特殊なもので多くの事件を解決するものとして扱われることが多かったです。
しかし「 リチャード・ジュエル 」ではその恐怖と実態が描かれていました。
見た目や性格などから無実の人間でも犯人になってしまうのです。
リチャード・ジュエルは銃もたくさん持っていて、警察の捜査などに詳しいオタク気質がある人物でした。
でもそれは警察官になりたいという憧れから生まれたものだったのに、犯人像に当てはめられてしまい彼の生活は地獄に突き落とされてしまいました。
私も映画が好きでドラマもアニメもたくさん見ています。
オタクと言われればそうかもしれません。
でもそういう事が一歩間違えると容疑者になってしまうのです。
FBIのプロファイリングの様子を見ていると他人事とは思えない恐怖を感じてしまいました。
マスコミの恐怖
FBIから捜査状況を聞き出し、リチャード・ジュエルが容疑者であることを掲載した記者。
その記事によってリチャード・ジュエルは、一夜にしてヒーローから犯罪者に変わりました。
逮捕されたわけでもないのにマスコミは彼を犯人扱いし、彼の過去を暴きます。
家の前に張り付き家族をも監視するマスコミにとっては、すでに彼は犯人なのです。
しかもマスコミが世間に伝える内容もFBIのプロファイリング同様、リチャード・ジュエルの見た目や生活状況ばかりで世論を煽っています。
過度な取材を続けるマスコミを見ていると、現代のマスコミに通じるものを感じずには入れれません。
世論を扇動しながら一人の人間を徹底的に叩き続けるマスコミの姿は、一種の暴力のようにも見えてしまいました。
まとめ
1人の男性が英雄から容疑者にされてしまう恐怖を描いた「 リチャード・ジュエル 」
クリント・イーストウッドらしい作品で、深い内容で見終わった後はドスンと心に重いものが残る映画でした。
リチャード・ジュエルの激動の人生を描いた作品でしたが、彼に起こったことは私達にも起こることなので怖さを感じます。
またマスコミによるしつこい追求は、現代のSNSなどの炎上と同じで一夜にして一人の人間を悪者にしてしまう異常な状態でした。
1996年の事件ですが、現代でも起こることを作品にしたクリント・イーストウッドのメッセージを感じる映画になっていました。