「 ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命 」感想・考察レビュー

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文・ライター:ayahhi

ナチスから子どもたちを守った奇跡、感動とともに、報われない善意や運の容赦なさも痛切に響く、深く重い1本。

目次

ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命

©One Life

あらすじ

時は1938年、第2次世界大戦直前。ナチスから逃れてきた大勢のユダヤ人難民が、プラハで住居も十分な食料もない悲惨な生活を送っているのを見たニコラス・ウィントンは、子供たちをイギリスに避難させようと、同志たちと里親探しと資金集めに奔走する。ナチスの侵攻が迫るなか、ニコラスたちは次々と子供たちを列車に乗せる。だが、遂に開戦の日が訪れた。それから50年、ニコラスは救出できなかった子供たちのことが忘れられず、自分を責め続けていた。そんな彼にBBCからTV番組「ザッツ・ライフ!」の収録に参加してほしいと連絡が入る。そこでニコラスを待っていたのは、胸を締め付ける再会と、思いもよらない未来だった。

(公式サイトより引用)

原題

One Life

公開日

2024年6月21日

上映時間

110分

予告編

キャスト

  • ジェームズ・ホーズ(監督)
  • アンソニー・ホプキンス
  • ジョニー・フリン
  • レナ・オリン
  • ロモーラ・ガライ
  • アレックス・シャープ
  • マルト・ケラー
  • ジョナサン・プライス
  • ヘレナ・ボナム・カーター

公式サイト

ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命

作品評価

  • 映像 
  • 脚本  
  • キャスト 
  • 音楽 
  • リピート度 
  • グロ度 
  • 総合評価 

感想レビュー

©One Life

これが事実に基づく作品であるということに、人生や世の中のあまりのドラマティックさに感慨深い気持ちになります。

ナチスの迫るチェコで苦しむ難民の子どもたちをイギリスに逃がす活動に関わった人たちの、「 困っている人たちを助けるのは当然のこと 」という意思の強さ。

何も得にならないどころか、自らの命も危険にさらすような活動に進んで入っていくというパワーや価値観に、ただただひれ伏す気持ちになります。

” 善意 “というのは第三者側の言い方であって、彼ら自身は、必要だからやっているという感覚なのかもしれません。

その勇敢さ、バイタリティはどこから来るのかと、不思議な気持ちにすらなります。

ニコラス自身は家庭内の教えによって人間性を育んだようで、教育のかけがえのなさを思い知ると同時に、

「 自分さえよければよい 」という損得勘定前提の生き方の限界にも思いを馳せます。

考察

善意の人々が、目の前で起きている惨状を放っておけないという一心で自らを危険にさらし、

公的支援も資金もない中、あらゆる知恵と工夫で実行したキンダートランスポート(この救出活動のこと)

それによって子どもたちが救われ、その命が子や孫を生み出し、彼らもまた善意活動に力を入れていくという善意の循環。

実に素晴らしく、美しく、感動的です。

争いが絶えず、暗澹たる気持ちになる世界にも、こうした奇跡や救いがちゃんと存在するのだから。

我々は「 勇気をもって、明るく生きて 」いかなくてはだよな、と感じました。

(これは、キンダートランスポートによって離れ離れになった父から子へ送られた言葉です)

まとめ

これは、” 英雄の感動物語 “で終わる話では到底ありません。

むしろ、救えなかった人々の存在が重くのしかかる作品でもあります。

子どもたちだけでなく、活動に関わった善意の人々も収容所へ送られたという、つらい現実も明示します。

「 正気を保つために、考えないように生きてきた 」という彼の言葉は、実に頷けるものです。

人々に訴えかけたい、と本作に挑んだアンソニー・ホプキンスの思いがしっかり受け止められる作品でした。

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