ミニシアター閉館の連鎖、インディペンデントな映画作品を守る為にできること

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「 ミニシアター 」とは、一般的には大手映画会社の影響を受けない小規模の映画館を指します。

大衆受けする商業的な映画作品ではなく、マイナーな作品や短編、新人映画監督による映画が上映されることが多い。

そんなミニシアターですが、コロナ禍による経営難のため次々と閉館されています。

本記事では、コロナ禍におけるミニシアターの存続危機と、今後の課題についてご紹介します。

ミニシアター 〜 日本の映画館のうち、大手映画会社の直接の影響下にない独立的(インディペンデント)なものを指す。旧来の「 単館系 」を含む。 

目次

ミニシアターが次々と閉館

コロナ禍以降、ミニシアターが次々と閉館の危機にさらされています。

2022年7月には、全国的にも有名なミニシアターであった「 岩波ホール 」が惜しまれつつ閉館。

新型コロナウイルスの影響で運営が困難になったため、惜しまれつつも閉館を決定したとのことです。

さらに、同年9月には1990年にオープンしてから32年間、関西のミニシアター文化を築き上げてきた「 テアトル梅田 」が閉館となりました。

テアトル梅田については、集客が悪く閉館するのではなく、建物の契約満了に伴う閉館とのこと。

とはいえ、運営会社である「 東京テアトル 」の飲食関連事業での業績が悪化していることもあり、多少なりとも影響がありそうです。

さらに「 名古屋シネマテーク 」も2023年7月28日に閉館することが発表されました。

名古屋シネマテークは1982年にオープンし、小さな40席の劇場で個性的な作品を上映することで知られてきました。

経営は当初から苦しく、さらにコロナ禍による映画館への来場者減少や経営難が影響し、運営困難な状況に陥ってしまったとのことです。

アート系の作品を上映してきた「 京都みなみ会館 」も2023年9月30日での閉館を発表しています。

ミニシアターから全国的大ヒットになった「 家族の肖像 」「 カメラを止めるな! 」

規模こそ小さいものの、ミニシアターは独自の視点からさまざまな作品を上映する場所です。

実際に、ミニシアターで上映されたことがキッカケで、話題になり名作となった作品も多い。

例えば、1978年に上映された孤独な老教授と若者たちの交流を描いた「 家族の肖像 」は、本記事でも紹介した「 岩波ホール 」で上映され、

10週間を超える大ヒット映画となり、ミニシアターが全国に増えたキッカケにもなりました。

他にも「 シネスイッチ銀座 」では、1989年に上映されたイタリアのドラマ映画「 ニュー・シネマ・パラダイス 」は40週を記録し、1館だけで26万人もの人々が訪れました。

近年ですと、興行収入が31億円の大ヒットとなった映画「 カメラを止めるな 」も、新宿のミニシアター「 K’s cinema 」で上映されたのが発端です。

その後、映画ファンの間で口コミで評判を呼び、最終的には350館で上映し220万人もの集客となりました。

さらにミニシアターでは、上映やイベントを通じて地域の文化活動やコミュニケーションを取る場所としての役割もあります。

そのため、ミニシアターの閉館は映画作品が見れなくなるだけでなく、地域社会全体に大きな損失になる可能性もあるのです。

クラウドファンディングによるミニシアター支援

一方で、こうした深刻な状況を危惧し支援を呼びかけている人たちも少なくありません。

実際に、ミニシアターへのクラファン(クラウドファンディング)が成功した事例を二つご紹介いたします。

一度は閉館したミニシアターが復活

山形県鶴岡市にある「 鶴岡まちなかキネマ 」

座席数は80で木造絹織物工場をリノベーションしたミニシアターです。

2020年5月に一度閉館していましたが、町民からの強い希望があり、2023年3月25日に再オープン。

希望金額は、600万円でしたが最終的には811人の支援者が集まり、わずか3カ月あまりで一千万以上の資金を達成することになりました。

この復活劇はニュースでも取り上げられ、今後は地元住民の交流の場として活用されていきます。

地域に根付いたミニシアターだからこそ起こせた快挙と言えるでしょう。

「 ミニシアター・エイド基金 」でコロナ渦を乗り切る

映画監督の深田晃司氏・濱口竜介氏をはじめとする映画関係者たちが、ミニシアターを守るために、2020年4月に「 ミニシアター・エイド基金 」という名前のクラウドファンディングを「 緊急支援策 」として立ち上げました。

目標金額は1億円でしたが、結果、なんと3億3千万で着地。

※現在はミニシアター・エイド基金の活動は終了しています。

集めた寄付金はミニシアターの支援事業に当てられました。

実際、この資金援助や国からの公的支援があったため、経営を持続できたミニシアターの経営者の方たちも多かったようです。

しかし、予想以上に長引いたコロナ禍のため経営資金が足りず、コロナ禍が落ち着いた現在も閉館を余儀なくされるミニシアターが後を絶ちません。

ミニシアターを存続させるためには、一時的なサポートや資金援助だけではなく、継続的かつ安定した支えが必要となってくるでしょう。

未来の名作を埋もれさせない為に私たちができること

ミニシアターで上映する作品は、大衆的な映画でなかったり古いリバイバル上映であったりすることも多く、一般の映画館ではなかなか上映する機会がありません。

ミニシアターが消滅することで、名作が世に出ず、誰にも知られずに埋もれてしまう可能性があります。

クラウドファンディングや寄付で運営を手助けする方法もありますが、まずは「 ミニシアターに足を運ぶ 」ことが重要です。

鑑賞後は、ミニシアターで上映された作品の感想をSNSやブログ、クチコミで広めます。

「 ミニシアターではこんな素晴らしい作品を上映している 」と魅力を伝えることで、多くの人たちが継続的にミニシアターへ足を運ぶことが、何よりの支援になるのではないでしょうか。

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