探偵・謎解き映画の「 ナイブズ・アウト 」は大富豪の小説家が大きな屋敷で亡くなったところから物語が始まります。
次々と家に集まってくる家族。
果たしてこの中の誰が犯人なのか?
映画の冒頭から探偵と一緒に謎解きモード全開です。
予想した犯人は当たっているのかどうか。
謎解き映画らしく最後に答え合わせを楽しむことができるようになっています。
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ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密
あらすじ
世界的ミステリー作家にして富豪のハーラン・スロンビーが85歳の誕生日を迎え、家族が集う中、ニューヨーク郊外にある彼の豪邸でパーティが開かれる。ところが翌朝、ハーランは遺体で発見される。そこに現れる探偵ブノワ・ブラン。匿名の人物から依頼を受けたその探偵は、ハーランの死を殺人事件と断定し、関係者全員の秘密や嘘を暴いていく。
公開日
2020年1月31日
上映時間
130分
キャスト
- ライアン・ジョンソン(監督)
- ダニエル・クレイグ
- クリス・エヴァンス
- アナ・デ・アルマス
- ジェイミー・リー・カーティス
- マイケル・シャノン
予告編
考察・感想レビュー
レビュー ❶
< 好きだった点 >
探偵映画ですから、探偵と一緒に謎解きを充分に楽しむことができた点。
次々と紹介される家族達。
いかにもみんな怪しそうで、誰が犯人なのか食い入るように画面を見ながらヒントを探してしまいます。
しかしなぜ屋敷の主人が亡くなってしまったのか、あっさりとかなり序盤ででわかってしまうのです。
「 これはどういうこと? 」と思いながら、それでも小さなヒントを見逃さないように必死で画面を見ていました。
するとやはり次の展開が待っていました。
やはり真犯人がいたのです。
単なる謎解きではなくて、二転三転していく内容に最後まで飽きることがありません。
「 この人が犯人です 」と早い段階で教えられても、「 何かあるよね 」と思わずにはいられません。
次の展開が楽しみで、物語の結末はどうなるのだろうと期待しながら最後まで見入ってしまいました。
王道の謎解き映画でありながらも、観客を裏切るような展開もあってエンターテイメント性がとても高い作品になっていました。
< 嫌いだった点 >
全体的に面白かったのですが、面白かった分、もっとそれぞれの家族の真の姿を見てみたいなと感じました。
個性派俳優がたくさん登場しているから、それぞれの家族に焦点を当てて欲しかったという単純な希望です。
マイケル・シャノンの息子役のジェイデン・マーテル君なんてほとんどセリフもなかったので、ちょっと残念な気がしました。
これだけ有名俳優が登場していると仕方ないのかもしれませんが、もったいなさを感じてしまいました。
< 見どころ >
「 アベンジャーズ 」シリーズでキャプテン・アメリカを演じているクリス・エヴァンス。
絶対的な正義の男が、この作品では最低な男を演じきっていました。
ダメ息子として登場し、途中でもしかするといい人なのかもと思わせながらもやっぱり最低な男でした。
いつもは見ることのできないクリス・エヴァンスの最低っぷりを楽しむことができるのも「 ナイブズ・アウト 」の見どころの1つです。
レビュー ❷
< 好きだった点 >
話が二転三転して、先の展開が読めない面白さとキャラが立ち、観ていて飽きない点が好きでした。
130分という決して短くはない上映時間ですが、その長さを感じさせない楽しさがありました。
< 嫌いだった点 >
「 殺人事件の犯人探し 」から「 遺産相続 」へと物語がシフトしていく性質上、初めの冒頭部分の回想や人物関係の紹介が長く感じてしまいます。
もちろん、そのキャラの位置付けがなければ、後半の展開を楽しめないので仕方がないことではあります。
話が本筋に展開するまでに、多少時間がかかる点はマイナスだなと思いました。
< 見どころ >
今作はミステリーとしてもちろん楽しめます。
ただ、そのミステリーの裏には「 現代のアメリカ 」への辛辣な皮肉も含まれているのです。
それを鼻につかない程度にコメディに変えて提示してくれるからこそ、「 ナイブズ・アウト 」はエンタメ作品としての体裁を保っています。
そのミステリーと皮肉の融合が見どころですね。
< 「自国ファースト」への皮肉 >
「 ナイブズ・アウト 」で示される現代のアメリカ社会への皮肉は下記のとおり。
- 「 自国ファースト 」に対して
- 「移民」に対して
今作の主人公である看護師・マルタは移民系で、その母親は不法移民という設定。
不法移民自体は良いことではないですが、アメリカでは珍しくはないはずです。
その少しだけ負い目を負っているマルタに対して、遺産相続に躍起になったスロンビー家は「 家族のように思ってる 」と伝えるのです。
しかし、この言葉が真実なわけがありません。
このスロンビー家の言動全体に透けて見えるのは、移民系を見下していることと、マルタの事情や故人・ハーランへの扱いは棚に上げた「 自分たちが一番 」という現代の「自国ファースト」に通ずる姿勢です。
また、先住民から買い取った家を孫のランサムが「 先祖代々受け継いだ家なんだ 」と必死に告げるシーンは、自分たちも大元を辿れば移民である事実を棚に上げた主張で皮肉めいてますよね。
そこを、ダニエル・クレイグ演じるブノワ・ブラン探偵が笑い飛ばす流れまでもが最高でした。
< 「移民」への皮肉 >
冒頭で出てきたマグカップが、ラストでマルタの手に渡り、マルタはそのマグカップを片手にスロンビー家をバルコニーから見下ろすというのは凄く印象的なシーンでした。
ここが印象的になった一つの要因に、そのマグカップに「 My house My rule My coffee 」と記されていることが挙げられます。
マルタのことを利用しよう、マルタなんかに遺産を渡してなるものか。
そうやって、散々マルタを見下してきたスロンビー家が結局は家も遺産も奪われ、マルタに見下ろされているのです。
ここに垣間見えるのは、「 移民に奪われるアメリカ 」だと思います。
自分達は大丈夫だと、何の確信もなくタカをくくっていたはずなのに、いつのまにか移民の人たちに高い地位や職を占められている。
さらに言えば、ハーランのような能力の高い、自身の力のみでのし上がった人は、マルタのような「 本物 」を見極める力がある。
ただ単純にアメリカ全体を大まかに批判するのではなく、今手にしている地位や財力は自身の力で勝ち取ってきたものなのかどうかを焦点に、皮肉を展開していくのが素晴らしいです。
マルタも看護師として、人として素晴らしい人格の持ち主でした。
その「 本物 」かどうかが大事なのです。
このように、先住民から土地を奪った過去を持ちながらも、同じ境遇にある移民のことは見下し、排除しようとする「 自国ファースト 」のアメリカに対しての辛辣な皮肉を呈するのがこの作品の魅力でした。
エンタメ作品として面白いのはもちろん、意外と社会派な面も伏せもつ「 ナイブズ・アウト 」の魅力はいくら語っても足りないくらいに沢山ありました。
エンタメとして楽しむも良し、社会派な面を深読みするのも良しで、様々な楽しみ方ができる作品です。
今回は探偵役として面白おかしくキャラを演じていたダニエル・クレイグ。
彼の最新作「 007 No time to die 」が4月10日に上映されます。
また、クリス・エヴァンスは「 キャプテン・アメリカ 」、「 IT 」シリーズのジェイデン・マーテルなどなど。
キャストがかなり豪華なので、この作品が気に入った方はキャストから他の作品を探してみるのもいいかもしれません。
まとめ
探偵映画なので、最初から物語に入り込むことができて最後まで謎解きを楽しむことができます。
途中で犯人が分かってもその裏にある本当の真実を見つけるために、ずーっと物語に集中していました。
いつもと違うクリス・エヴァンスやダニエル・クレイグの演技を楽しむこともできる作品なので、見終わったとの満足度はとても高い映画でした。