「 サンドラの小さな家 」の映画情報・あらすじ・レビュー(テーマは家庭内暴力)

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夫から逃れて人生を立て直すシングルマザーの絶望と希望があふれる奮闘ぶりにクギ付け!

目次

サンドラの小さな家

サンドラの小さな家
©サンドラの小さな家

あらすじ

家庭内暴力をふるう夫から逃れ、2人の幼い娘たちとホテルでの仮住まいを余儀なくされたシングルマザー。途方に暮れていた彼女は、娘が話した昔話に触発され自分で家を建てることを決意する。

公開日

2021年4月2日

上映時間

97

原題

Herself 

キャスト

  • フィリダ・ロイド(監督)
  • クレア・ダン
  • ハリエット・ウォルター
  • コンリース・ヒル

予告編

考察・感想レビュー

サンドラの小さな家
©サンドラの小さな家

好きだった点

希望が持てる点。

  • DV
  • 女性の貧困
  • 住居問題
  • DVの世代連鎖

など、この映画には目を背けたくなるような社会問題のリアルが多く盛り込まれています。

主人公サンドラの境遇は八方ふさがりなので見ている側も辛いのですが、サンドラ自身がDVや貧困によって閉ざしていた心を少しずつ開いて、

他人に助けを求めて自身の人生を立て直していく様は救いがあります。

社会問題に関する絶望を絶望として描く。

という選択肢もあると思いますが、絶望の中にあっても、少しでも希望の光を探して掴んでいくサンドラの姿には勇気づけられます。

と同時に、この世は捨てたものではないという気持ちになれます。

こうした社会問題は、当事者やその支援を行っている人以外、進んで関わろうとはしないかもしれません。

だからこそ、希望を失わずに社会のリアルを描いて、しっかり問題提起をしていることに共感しました。

嫌いだった点

嫌いというよりは「 辛い 」「 怖い 」という感情が大きいです。

とにかくDV夫のガリーが恐ろしくてたまりませんでした。

DVシーンはとても残虐で、直視できないほどショックでした。

あろうことか、サンドラが残虐な暴力を加えられている姿を幼い娘に見られてしまう描写は、胸が張り裂けそうなほど辛かったです。

現代において、子どもが親のDVを目撃してしまうことを、そのショックの大きさから「 面前(めんぜん)DV 」と言います。

これは児童虐待と見なされるそうです。

娘はまさにそのショックを受けてしまったわけであり、その時の恐怖と混乱の入り混じった表情は、もはや演技とは思えないほどの痛々しさがありました。

幼い娘2人は、法律上、母を痛めつけると知っている父のもとに毎週通わなければならず、怖がって父に会いたがらない娘をかばったサンドラ。

彼女は「 面会権の侵害 」ということで、親権を奪われそうになるという理不尽さ。

ただでさえ、DVの被害に遭い、住む場所も仕事もままならない中なのに、法律さえもサンドラ(=DVに苦しむシングルマザー)を守ってくれない現実は見ていて非常に辛かったです。

こんなことがまかり通ってはいけないと強く思いました。

たまたまサンドラは、幸運にも仲間に恵まれ自分の境遇から抜け出し、人生を再建しました。

恐らくは、誰にも相談できず孤立したり、絶望して動き出せずに苦しみ続けていたりする人も多くいるのだろうと想像すると

非常に重く、辛い気持ちになります。

見どころ

非常に辛い境遇に置かれたサンドラを、周囲の人達が温かく支えてあげる場面です。

何の技術もない女性がいきなり「 家を建てたい 」と言い出したら、たいていの人たちは無理だといって協力してくれないでしょう。

しかし、何もないところから、素人が集まって家を建ててしまうというのは、なんとも頼もしいです。

しかもそれがファンタジーではなく、「 協力してやればできること 」なんだと気付いていく過程が素晴らしい。

いかにも善良でサンドラを助ける人たちも、ただサンドラを助けるのではなく、自分自身の自信や人の役に立っているという充足感と幸福感を得ていたのではと感じました。

自分の母が父に殴られているのを見て育ち、結果的に自分もDV夫になってしまったガリー。

サンドラと出会った頃はまともだったようで、サンドラは「 あの頃の彼が恋しい 」と言います。

いったい何がキッカケで妻に暴力を振るようになってしまったのか、それが気になりました。

あるいは、もともと持っていた気質がだんだんと姿を現したような気もするので、身震いする気持ちにもなりました。

まとめ

サンドラの小さな家
©サンドラの小さな家

壮絶なDVシーン。

直視するのが辛い場面の多い作品ですが、自分の意志で人生を立て直す権利や志、善良な人たちとの助け合いや子どもへの愛情など。

人生の素晴らしい部分も描いた力作だと思います。

年齢や性別にかかわらず、幅広い層に知ってほしい作品です。

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