美しい映像と表情豊かな人物の魅力が光る
まるで夢を見たかのような
浮遊感がただよう不思議なヒューマンドラマ。
画像の引用元:IMdb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
GAGARINE ガガーリン
公開日
2022年2月25日
原題
Gagarine
上映時間
90分
キャスト
- ファニー・リアタール ジェレミー・トルイユ(監督)
- アルセニ・バティリ
- リナ・クードリディアナ
- ジャミル・マクレイブンフサーム
- フィネガン・オールドフィールドダリ
- ファリダ・ラウアジファリ
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
好きな点
明け方や夜など、空の色彩が美しいです。
作品全体が宇宙に思いをはせている感じがあり、その映像は遥かなものに包まれている包容力があります。
主人公(ユーリ)の、自分を置き去りにした母への思い。
ディアナへのもどかしい恋心。
孤独感や宇宙を夢見るあこがれ等が、映像と同じく、丁寧に描かれています。
それが独特な不思議な魅力となり、見るものを心地よくさせます。
長さは98分と平均的なのに、「 もう終わり?」と感じるほど映像に見入ってしまいました。
考察
作品全体が青みがかっていて、落ち着きと静寂をもたらしています。
ユーリたちが、青春の日々を過ごす老朽化した団地「 ガガーリン団地 」は、愛着と寂しさのかたまりのような、未来のない場所。
安全性にも問題があり、若いユーリたちにとっては、そこを去って新たな場所に旅立っていかなくてはいけない場所なわけです。
そこには様々な思い出や居心地の良さ、ノスタルジーがあるわけで、その割り切れなさ、人間の心のよりどころの大切さが伝わってきます。
ガガーリン団地がダイナマイトで爆破される場面では、必要性を理解しながらも、直視するのが辛い住人たちの複雑な面持ちがうかがえます。
そんな情景から、長く暮らした場所が破壊されることの衝撃を思いました。
それと同時に、いままさにウクライナで行われている街の破壊に思いを馳せ、なんの理もなく愛着がある場所が破壊されることは、どれだけ辛く苦しいことかと感じました。
まとめ
そこまで明るい未来の身通しはないけれど、瑞々しい若さで、明るく仲間と共に日常を生き抜くユーリたちに好感が持てます。
どちらかといえば、社会的に恵まれない人たち側の視点で描かれた作品です。
監督のファニー・リアタール&ジェレミー・トルイユは、政治学院で学び、世界中を旅した後に、映画製作の道を歩んでいることもあり、焦点のあたりづらい人々へのリスペクトに満ちた視線を感じます。
華やかさはないですが、しみじみと没入できる作品でした。