文・ライター:@小松糸
シカゴのある地域では「 鏡に向かってキャンディマンと5回唱えると、殺人鬼が現れて体を裂かれる 」という都市伝説があった。
芸術家のアンソニーは、創作活動の一環としてキャンディマンの謎を追うが、その都市伝説の裏に隠された悲惨な物語を知る。
キャンディマン
公開日
2021年10月15日
原題
Candyman
上映時間
91分
キャスト
- ニア・ダコスタ(監督)
- ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世
- テヨナ・パリス
- ネイサン・スチュアート=ジャレット
予告編
公式サイト
感想レビュー
観賞後、とにかく鏡が怖くなる。
私は実際に、映画が終わって劇場から出て、いつものようにトイレに行った際、鏡を見て思わず目を伏せてしまった。
全体的に「 鏡 」を重要なアイテムとして使用しているので、映画の冒頭に登場するユニバーサルロゴも全て反転だった。
ユーモアの効いた見せ方にホッコリする。
1992年に同名の映画が公開され、監督等は異なるがその続編と言っても過言ではなかった。
私は1992年の作品は未鑑賞だが、かなり惹き込まれた。
その理由として、劇場内の扉が振動で微かに揺れるほどの爆音、今作の裏側に描かれた実際の問題が要因としてあると感じた。
エンドロールが終わり劇場内が明るくなった時、なんとも言えないモヤモヤした気持ちが残っていた。
影絵を使った説明は、パッと見ると可愛らしい印象を抱くが、影絵で表している物語はとても暗く、その真っ黒な影が段々と怖くなってくる。
「 ゲット・アウト 」「 アス 」でお馴染みのジョーダン・ピールが製作と脚本に携わっているのもあり、ただ怖くて脅かしてくる映画ではない。
テーマや伏線がハッキリとあり、考えさせられる作品だ。
ジョーダン・ピールの作品の特徴として、現代で実際に問題視されているものを作品の中に取り入れる作風が多い。
黒人の人種差別、そして貧富の差。
そういったものをホラーとして描き、たまに皮肉っぽさも交えながら映画として届ける印象だった。
今作で描かれていたのは「 加害者は時間とともに忘れたり、面白おかしく笑ったりするけれど、被害者は永遠に心の傷として残る 」というのがテーマとしてある。
「 キャンディマン 」と鏡の前で5回唱える、という遊びが子どもたちの間で大流行するが、その当人の歴史を紐解くと、悲しく切ない物語に満ちていた。
映画ももちろん怖い。
しかし、私たちが実際に暮らすこの世界の方がよっぽど怖いということを作品から教わった。
虫に刺されたら化膿していくのをただ眺めるのではなく、痛くなったら真っ先に病院へ行きましょう。
まとめ
日本でも「こっくりさん」「トイレの花子さん」などいろんな迷信があるが、その裏側にどんなことが隠されているのか、調べたらたくさんの歴史が出てくる気がする。
普通のホラーには満足できない人に是非みてほしい作品だ。