本日ご紹介するのは、2016年に起きたセクハラ事件を実名そのままで映画化した「 スキャンダル 」
FOXニュースのCEOが元FOXのキャスターにセクハラで訴えられた事件。
この事件はアメリカでは驚愕の事件となり、世間が大注目しました。
理由として、訴えられたロジャー・エイルズは、アメリカのテレビ業界の中で絶大なる権力の持ち主だったからです。
そんな権力に対して真っ向から戦ったFOXのニュースキャスターたち。
この事件の裏で何が起こっていたのか?
それはあまりにも驚きの事実だったのです。
スキャンダル

あらすじ
2016年。FOXニュースのベテラン女性キャスター、グレッチェン・カールソンは、人気番組の担当を降ろされたのを機に、絶大な権力を笠に着て長年セクハラを繰り返してきたロジャー・エイルズCEOを訴える準備を進める。一方、看板キャスターのメーガン・ケリーは、女性蔑視が目に余るドナルド・トランプ大統領候補への対決姿勢を鮮明にしていく。そんな中、メインキャスターの座を狙う野心あふれる若手ケイラ・ポスピシルは、ついにロジャーとの面接のチャンスを得る。
公開日
2020年2月21日
上映時間
108分
キャスト
- ジェイ・ローチ(監督)
- シャーリーズ・セロン
- マーゴット・ロビー
- ニコール・キッドマン
- ジョン・リスゴー
予告編
考察・感想レビュー

レビュー ❶
アメリカを代表するFOXニュースチャンネルにて実際に起きた元CEOによるセクハラ事件。
シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビーを主要キャスト迎えた本作。
実在する2人の顔を表現するため、特殊メイクが使われています。
そのメイクは話題となり、今作はアカデミー賞(2020)にてメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞。
< 好きだった点 >
冒頭から、同じ会社にいる立場も考えもちがう3人の人物ストーリーが描かれる点。
この3人はどのように繋がっていくのだろうか?
と疑問に思いながら鑑賞していました。
しかし、3人が協力してセクハラ被害を訴えるという物語ではありませんでした。
今作の肝はセクハラ問題という一つの事案に対し、1人の女性がどのように感じ、対処するのかを描いた作品でした。
だからこそ、年齢や立場のちがう3人を主要キャストにしたのかと感心しました。
そして、予告でも使われていたエレベーターのシーンはとても見応えがありました。
物語の中盤で流れるのですが、全く別の目的で乗った3人が、会話するわけでもないシーン。
一見すると、物語に不要では?
と感じたのですが、登場人物の目線、息遣い、表情を見ると空気がすごく悪い(笑)
この後、物語が大きく動き始めるのかと、一目見ただけでわかるシーンとなっておりました。
BGMやシーンのテンポも早いのでサクッと見たい人にもオススメです。
< 嫌いだった点 >
男性の登場人物が置物か悪者かに徹してしまっていた点。
これは、今作の「 う~ん 」ポイントかなと感じました。
というのも、今作での男性は、訴えられたCEO以外ほとんど傍観者の立場なんですよね。
私としては、「 セクハラ問題について、FOX男性社員がどう感じていたのか 」という描写があってもいいのかなと感じました。
また、時間軸観点からアメリカで何が起きていたのかを少し知っておく必要がある点は、作品として不親切では?
と感じました。
< 見どころ >
何といっても、マーゴット・ロビーの熱演ですね。
アカデミー賞助演女優賞ノミネート(2020)は伊達じゃなかった。
実は主要キャストの内、彼女だけ現実に登場しないオリジナルキャラクターなんですよね。
彼女が演じたキャラは、夢を持った野心家。
FOXのメイン番組に出演したいという夢を持った彼女は、あの手この手で上層部に顔を売っていきます。
順調にCEOと顔を合わせられるようになるですが、彼からセクハラ被害に遭ってしまいます。
キャリアのためとはいえ、彼女は心に深い傷が残ってしまいました。
そんな時に起きたCEOのセクハラ訴訟。
彼女は自身の被害を告白すべきか悩み抜き答えを出していきます。
彼女の演技がなぜ心に残った理由は、セクハラ被害をリアルタイムで受けている描写があるからだと感じました。
序盤から夢を追いかける彼女の姿に、心を許していた私は彼女が不幸な目に遭うのが本当に辛かったです。
終盤で「 私は不潔だわ 」と親友に涙ながらに告白するシーンがあります。
親友は「 あなたは悪くない 」と励まします。
このシーンのマーゴット・ロビーの涙は刮目してご覧になっていただきたいです。
いつの時代も悪い奴に権力を持たせるのはNGと改めて認識した作品でした。
< ボス(社長)を訴えるということ >
会社においてボスを訴えるということは、非常に現実的ではないのかもしれません。
セクハラ訴訟後、FOX社では意見が分かれます。
- 被害を告白したい人
- 被害者だけど今のキャリアを無駄にしたくない人
- そもそも問題にあまり関わりたくない人
- CEOを擁護しようとする人
彼女の言い分は、「 セクハラされたおかげで、今の仕事がある 」でした。
確かに告発すれば、キャリアがなくなってしまいますからね。
嫌な思いしたけれど、クビになるわけにはいかない。
この1シーンのみで、社員が上層部と戦うことはリスクがあると感じました。
だからといって、男にも女にも引けない時はあるよなあと感じてしまいましたね。
もし私がパワハラなどの対象になってしまった場合、どう生きていくのか?
レビュー ❷
< 好きだった点 >
2016年の出来事を2019年の時点で映画化できるアメリカの映画業界の凄さを見せつけられました。
しかも実名で映画化していることに驚きです。
主演も務めたシャーリーズ・セロンがどうしても作品にしたかった強い想いを感じることができる作品です。
アメリカのテレビ業界のドンでもある人物から受けるセクハラ、それに対して戦おうとしたのがニコール・キッドマン演じたグレッチェン・カールソンでした。
彼女は、自分がクビになってでもロジャーのセクハラを訴えることで、他にも多くの女性キャスターが声をあげてくれると思っていましたが実際は違いました。
声をあげたのはFOXのキャスターではありませんでした。
逆にFOXではロジャーを守ろうとする動きが起こります。
それは声を上げることができない女性の苦悩でもあり、セクハラを受けた時の女性の実態だとリアルに感じました。
自分が傷物にされてしまう・職を失ってしまうなど、声を上げることでさらなる被害が彼女たちに待ち受けているのです。
一度セクハラで傷ついているのに、声をあげればまた傷ついてしまうのです。
女性の本音の部分が描かれていてこれが現実なんだと痛感し、同じ女性としては辛くなりました。
だからこそ何もかも失っても声をあげたグレッチェン・カールソンの勇気はすごいなと感じました。
「 スキャンダル 」の主役はシャーリズ・セロンが演じたメーガン・ケリー。
私は、最初に声をあげたニコール・キッドマン演じたグレッチェン・カールソンの行動力に感動しました。
< 嫌いだった点 >
アメリカでは注目されたニュースなので、登場人物が誰なのかすぐに理解できるのでしょうが、日本人にとっては誰が誰なのか分からないところがちょっと辛かったですね。
展開が早く最初はついていけなかったので、もう一度全てを理解した上で見直したいと思いました。
人物関係が分かっているとより楽しめると思います。
< 見どころ >
アカデミー賞でメイク・ヘアスタイリング賞を受賞しただけあって、シャーリズ・セロンは全く本人と分からないほどです。
それだけ役のメーガン・ケリーに似ています。
顔だけではなく声や話し方もかなり本物に似せたようで、アメリカで公開された時にはみんな驚いたそうです。
確かに本人の写真と比べるとそっくりです。
どれだけシャーリズ・セロンがこの作品を作りたかったというのかがわかるほど、彼女の意気込みを感じることができました。
まとめ

たった3年前の驚愕の事件を映画化した「 スキャンダル 」
こんなことが日常的に起こっていたかと思うとゾッとしてしまいます。
しかし、これは劇中の話ではなくて実際に起きていたし、今も続く問題です。
この作品で勇気を与えられ女性も多いでしょうし、女性を応援する作品になっていたと思いました。
↓ ↓ ↓ ↓
素晴らしい投稿レビューでしたね。
今作は、女優シャーリーズ・セロンが製作にも関わっているので、彼女の強い想いが感じられた作品でしたね。
ハリウッド業界で話題にもなっているセクハラ問題。
エマ・ストーン、ケイト・ブランシェットなど、映画業界で活躍する人たちがセクハラ被害者を支援する基金を設立する動きも出てきていますね。
ハリウッド業界ではびこるセクハラ問題に真っ向から立ち向かう女優として、ナタリー・ポートマンが知られています。
僕は、人格者であり努力家の彼女を1人の人として尊敬しています。