平和な街に突如訪れる暴力と分断。
ウクライナを想起させて辛いけれども、人々のたくましさに救われる表情豊かなヒューマンドラマ。
画像の引用元:IMdb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
ベルファスト
公開日
2022年3月25日
原題
Belfast
上映時間
98分
キャスト
- ケネス・ブラナー(監督)
- カトリーナ・バルフ
- ジュディ・デンチ
- ジェイミー・ドーナン
- キアラン・ハインズ
- コリン・モーガン
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
好きな点
主人公のバディが実に表情豊かで、発言もしぐさも可愛らしかったです。
共演者もこぞって絶賛する彼の表現力はこの映画の一番の魅力でしょう。
母の厳しさや優しさ、気性の激しさも人間味たっぷりで魅力的ですし、兄の物静かながら家族を愛する温かさや、頼りない父のいざというときの頼りがいにも心打たれます。
大きな愛とユーモアのある祖父と、皮肉屋のようで愛情深い祖母。
完璧とは程遠くても、それぞれに懸命に自分の人生を生き、サバイブしようとしている姿勢に好感を抱きます。
ベルファストという街の人々の、北アイルランド特有のユーモア溢れるセリフのやり取りも良いです。
監督や出演者が語るように、様々な辛いことがあってもユーモアを忘れず、人生を肯定的にとらえる人が多い街だというところも共感しました。
考察
平和な街でのびのびと育っていた主人公に突然降りかかる暴力と分断、そして辛い決断。
プロテスタントがカトリックを襲撃するシーンは恐ろしく、ただただショックを受けおびえるしかない子どもたちを目の当たりにし、やはりどうしてもウクライナを思い出しました。
こんなふうに、暴力に震える子どもたちが沢山いるのか、と思うと本当に辛くなります。
しかし、彼らは打ちのめされず、生き抜くことを選択し、綱渡りながらたくましく生きています。
そこに救われますし、勇気づけられます。
まとめ
ロックダウン中に行われた撮影時は、予想もしていなかったであろう現在のウクライナの事態が、図らずも哀しいことに、ベルファストの街とどうしてもシンクロします。
暴力と分断は人間がいる限り、どこにでも起こりうること。
しかしそこには、争いに自ら手を染めてしまう人もいれば、ユーモアや愛を大切に生きようとする人たち必ずいるはず。
少なくとも自分は生涯、バディの家族らのように、ユーモアと愛をもってサバイブしていこうと改めて思いました。
丁寧に、大切に作られた良質な作品でした。