本作はチャドウィック・ボーズマンの遺作ではない。
しかし、劇場公開作品として遺作。
本作以降に2本のネトフリ作品がある。
- ザ・ファイブ・ブラッズ
- マ・レイニーのブラックボトム
21ブリッジ
あらすじ
大量のコカインが隠された店で警官隊と強盗2人が銃撃戦になり、警察側に多数の犠牲者が出る。ニューヨーク市警殺人課の刑事は麻薬取締班の刑事とコンビを組み、21の橋を含めたマンハッタン島全域の完全封鎖を決行。大胆な作戦によって、逃走を続ける強盗犯2人を捕らえようとする。
公開日
2021年4月9日
原題
21 Bridges
上映時間
99分
キャスト
- ブライアン・カーク(監督)
- アンソニー・ルッソ/ジョー・ルッソ(製作)
- チャドウィック・ボーズマン
- シエナ・ミラー
- ステファン・ジェームス
- キース・デイヴィッド
- テイラー・キッチュ
- J・K・シモンズ
予告編
考察・感想レビュー
好きだった点
「 ブラックレイン(1989)」
松田優作の決死の迫力と凄味。
同様の迫力と凄味をチャドウィック・ボーズマンから激流の如く伝わってきた。
闘病による彼を蝕む痛みが、彼が役として抱える痛みとリンクして見ている僕らにも突き刺さるリアルな痛みとなって襲ってくる。
面白いストーリー同様に、彼の人生に歩みよれる気がした。
深夜の走査線とマンハッタン島封鎖のタイムリミットを基軸に、スピーディー且つ緊張感が途切れない。
複線もしっかり回収できるストーリー展開は見事。
嫌いだった点
先ずは過去からよくある公権力の汚職。
しかし、本作はNY市警の85分のみの問題として描かれている。
果たして、NY市警本部・NY市長・FBIは絡んでいなかったのかと気になるところ。
何故なら事件発生からFBIの登場と動き。
マンハッタン島に閉じ込めるための各橋、鉄道、船舶の封鎖が深夜と言う条件の中で早すぎる(迅速なのか?)
僕ら日本人からすると「 踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!(2003)」に登場した、青島刑事の「 レインボーブリッジ封鎖できません 」を知っているが故に!
見どころ
目を引くのがマンハッタンの夜景。
近年の撮影では、ヘリコプターより自由度高いドローンを使った空撮が当たり前のシーンになっているけど、本作はマンハッタンの夜景だけでも見応え充分な迫力ある美しさを魅せる。
この銀河に散らばる星々の中の光の1つ1つには、普通の人々も強者も弱者も善人も悪人も背徳者が生活している証。
そして事件が起こり、操作が始まるが・・・。
そもそも警官登場時からの違和感と不自然さを感じ得なかった。
やはり、この感覚は間違いなくストーリーのメインストリームの下に多数流れる走る隠れた主題が浮き彫りになっていく。
よくある汚職だが、NY市警の分署に勤務し、命懸けでNY市民を守る彼等の切実がある。
一歩間違うと、NY市の反社会的勢力と行政に司法も大々的に巻込むドラマになりそうな主題を、分署管轄内で留めることで物語の主旨をわかりやすく示している。
昨今の貧富の格差や人種の格差等々のアメリカが直面している巨大なサスペンスになってしまう要素を、上手に切り捨てミニマムに捜査と事件の根底に注力されている。
チャドウィック・ボーズマンが存命ならば、オリジナル劇場作品として第2弾も作れそうに思えた。
例えば「 ランボー(1982)」や「 ロッキー(1976)」の様に、より社会正義へ邁進していく様な展開も期待できたのではないだろうか?
まとめ
本作では幾つかの対比できる劇場作品を上げたけれど、ミニマムなサスペンスという意味で、ケビン・コスナー&ジーン・ハックマンの「 追いつめられて(1987)」を見たくなった!