「 ホモ・サピエンスの涙 」の映画情報・あらすじ・レビュー

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人間の「 悲しさ 」「 起承転結 」「 見せ場 」がないのに成立する面白さ。

    面白さが伝わりにくいので、本記事では魅力を書いていきます。

    目次

    ホモ・サピエンスの涙

    ホモ・サピエンスの涙
    ©ホモ・サピエンスの涙

    あらすじ

    語り部は、千夜一夜のシェヘラザードのように、人々の悲しみと喜びを言葉に乗せる。それは、どれも取るに足りない出来事だけれど、彼らにとってはとても大切な一時だった。この世に絶望して何も信じられなくなってしまった牧師、戦火に見舞われたケルンの街を上空から見下ろして悲嘆にくれるカップル。しかし悲しみは永遠に続かず、青年は新しい愛に出会い、父親は雨の中で娘の靴紐を結ぶ。時代、年齢、性別を問わず、悲しみと喜びを繰り返しながらも愛することをやめない不器用な人間の姿を描く。

    公開日

    2020年6月18日

    原題

    About Endlessness

    上映時間

    78分

    キャスト

    • ロイ・アンダーソン(監督)
    • レスレイ・リヒトワイズ・ベルナルディ
    • アーニャ・ノバ

    予告編

    考察・感想レビュー

    ホモ・サピエンスの涙
    ©ホモ・サピエンスの涙

    好きだった点

    全33シーンがワンシーン・ワンカットで撮られています。

    カメラは動かず、バッチリ決まったポストカード・絵画のような映像。

    その中で人間(ホモ・サピエンス)が虚ろげに、でもどこか滑稽に生きていくというもの。

    淡々としていて、ハッキリした物語や起承転結はありません。

    序盤は眠気との戦いでした。

    「 これは一体何なんだ?」と。

    ヒトラー登場以降、テーマがハッキリと浮かび上がり、ラストにはグッときてしまいました。

    人間が感じる小さいものから大きいものまでの「 悲しさ(涙)」を並べていきます。

    ハイヒールが壊れてしまった女性から信仰を失った神父、敗北を悟ったヒトラーまで。

    ヒトラーも我々と同じ「 人間(ホモ・サピエンス)」という主張があります。

    彼は非人道的な殺戮を指示した人物ではありますが、彼にも感情があり僕たちと同じ人間なのです。

    「 ソナチネ 」オマージュと思われる映像で、エンジンが止まり困っている男で幕を閉じます。

    あなたの感じている悲しみは皆も感じているもの。もっと大きな悲しみもあれば、それは人生のほんのひと時のものだよ。 」

    という監督の優しい目線が感じられます。

    高めに置かれているカメラからも分かるように、監督(今回は「神」とも言えますが)が優しく見つめる、という描き方をしています。

    恥ずかしながら勉強不足で、監督の作品は初見ですが、ロイ・アンダーソンが好きな友人によるとラストは彼らしいと。

    色々と大きな悲しみの瞬間を描いてきたわけですが、最後はサッパリした終わり方です。

    「 愛をまだ知らない少年 」が枯れている植木を見ているシーン。

    「 脚を失い悲しみに暮れる男 」が駅でギターを弾き歌うシーンで延々と脚のある通行人を歩かせていたり、

    信仰を失った神父が裏で「 キリストの血 」として出すワインをガブガブ飲んでいたりと。

    嫌いだった点

    全体としては飽きずに見ていられますが、抱き合う男女が空を飛んでいるシーンなど。

    あまりにも長過ぎる 」と感じてしまいました。

    見どころ

    「 見どころ 」がないのが見どころですね。

    まとめ

    ホモ・サピエンスの涙
    ©ホモ・サピエンスの涙

    決して派手な見せ場はありませんが、今後は彼の作品を見ていこうと思いました。

    美しい映像美で描かれるシニカルな視点と監督の優しさに、あなたも1度触れてみてはどうでしょうか?

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