このタイトルを見て、自ら手に取ったあなたが中高生であれば、その時点でもう「 なりたい自分 」に近づいています。
今は、様々な体験を通した探究活動が「 お膳立てされた 」ビジネスになってきています。
学生はその中から「 正しい選択 」をすることを学んでいます。
しかし自ら「 やりたい、なりたい 」を見つけて動ける学生は少ないのではないでしょうか。
「 やりたい 」「 なりたい 」があったとしても、検索すればすぐに解決してしまいます。
これでは「 更に疑問を持って深堀する 」ところまで行きませんよね。
チャンスとバランス

この本の中で響いたのは、当たり前だった世の中が変わりつつあるのは「 チャンス 」だと解釈している点です。
今まであったレールから外れたり戻ったりを繰り返す「 バランス 」を取ってもいいと言っています。
レールから一度外れたら外れっぱなしの人生?レールには戻れない?
そんなことはない、「 何でもアリ 」の未来だと、読者を励ますのです。
キャリアサーフィン
このように書くと、著者が具体的に全てを教えてくれるかのように思えますが、中身は違います。
「 数々の職歴を持つ自分の人生を「 キャリアサーフィン 」という言葉で表現し、「 流れるように、その時その時でやりたいこと 」をやってきた、いわば自分史です。
しかし注目すべき点は「 やりたいこと 」をやってきただけではないということです。
やりたいこと(A)に必要なもの(B)が見つかれば、今度はそれが次のやりたいこと(A)になり、それを繰り返しているのです。
やりたいことは世界に溢れていた
こうして(A)と(B)を繰り返すうちに、著者の活躍する舞台は日本から外れていきます。
一見、何も共通点がないような職種の中に「 自分だけの共通点 」を見つけて、世界中で仕事をするのです。
前述した、お膳立てされた探究の「 選択活動 」ではなく、自分にとって必要なものを見つけていきます。
どうすれば、様々な職種の中で「 自分だけの共通点 」を見つけていくのか?本書で詳しく書かれています。
誰に読んでほしい?
「 なりたい自分になる前の下準備をする本 」と言ってもいい本書。
中高生だけでなく、小学校高学年にも読んでほしいです。
保護者の方が最初に読み、子どもがアドバイスを求めてきた時に「 ある人がね… 」と話してください。
「 続きは?」となったら、この本を渡しましょう。
親の役目はそこで終わりです。
「 自分に嫌われない生き方 」ハウツー本でも啓発本でもない、家族で回し読みしたい本

文・ライター:栗秋美穂