「 くまのプーさん 」と聞くと、どんなイメージをお持ちでしょうか?
ほとんどの方が、少し抜けている黄色い可愛らしいクマが、トレードマークの赤いTシャツを着ている姿を思い浮かべるのではないでしょうか?
ディズニーキャラのなかでも特に人気のキャラで、フィギュアスケート選手の羽生結弦さんが好きなことでも有名ですね。
ところが、そんな可愛らしいプーさんが、血に飢えて人を襲う「 プーあくまのくまさん 」が、2023年6月23日(金)に日本で公開されることが分かり話題になっています。
今回は、映画のあらすじ情報だけでなく、原作の著作権やディズニーとの気になる関係まで紹介していきます。
「 プーあくまのくまさん 」とは?

原題は「 Winnie the Pooh: Blood and Honey 」
直訳すると「 くまのプーさん:血とはちみつ 」となります。
なんとすでに2作目も決定してるとのことです。
「 PG12 」の年齢制限もあるため、小学生以下は保護者同伴が望ましいとされています。
過激なホラー映画が物議をかもしています。5月23日から上映予定だった香港では直前に、上映中止が決定しています。
どんなあらすじ?
大人になったクリストファー・ロビンが、婚約者のメアリーと共に久しぶりに100エーカーの森に戻ってきたが、そこには野生化し、以前の面影がまったくないプーとピグレットの姿が…。絶体絶命の危機に二人はどうするのか?
という本来の、のんびり天然なプーさんとかけ離れたストーリーです。
ネタバレなしの本家の予告動画はこちらから確認できます。
映画の評判は?
「 はちみつにはもう飽きた 」というキャッチーな宣伝が受けたのか、現在公式サイトで公開されている予告動画は、5月18日現在、31.8万回再生されています。
すでに海外で鑑賞された方の感想では、ホラー映画としての評判は良いそうですが、ストーリーとしては厳しい声が多いようでした。
まだ日本では公開前ですが、Yahoo!映画では、星1.0。Filmarksの口コミ一覧でも、1~2点のレビューが目立ちます。
なかには「 野生のクマは危険という教訓になったのでは?」との感想も。
アメリカでの映画批評家スコアは、100パーセント中4パーセントと、専門家からも容赦ない酷評をされています。
原作絵本は2022年1月に著作権が消滅!
著作権に厳しいはずのディズニーが、プーさんのホラー映画制作を承諾するとは思えませんね。
実は「 プーあくまのくまさん 」は、ディズニーアニメの「 プーさん 」ではなく、1926年に出版された絵本「 くまのプーさん 」(原題:Winnie-the-Pooh)をモチーフにした作品。
原作の著作権が2022年1月に消滅したため、ホラー映画の作成が可能となったのです。
著作権が切れた作品を「 パブリックドメイン 」と呼び、誰でも自由に使用することができます。
ちなみにパブリックドメインとなったのは、一作目の「 くまのプーさん 」だけです。
1928年に出版された続編「 プー横丁にたった家 」は、未だに著作権の保護下にあります。
ですので、続編に登場するトラのティガーは、今回の映画には登場することはできなかったのです。
ディズニーと著作権の複雑な関係

上記の理由から、「 プーあくまのくまさん 」は原作の絵本を題材にしており、「 ディズニーが作ったアニメのプーさんとは別物 」となります。
とはいえ「 プーさんといえばディズニー 」をイメージされる方も多いので、ディズニー的には映画公開は喜ばしくないことが、想像できますね。
実際に、今回のホラー映画を「 ディズニー公式 」だと思っている方もいらっしゃいました。
※「Disney+(ディズニープラス)」はディズニー公式のため、本映画が配信されることはありません。
ディズニーアニメのプーさんと類似点が多く見られることがあれば、ディズニー側が何かしらの法的処置をとることも十分考えられますね。
アメリカの著作権法はディズニーに配慮されている?
本家アメリカでは本来、著作権保護期間は56年と決められていましたが、その後、1976年にはさらに19年延長され75年に。
さらに1998年には、95年に延長。
この度重なる法律改正は、ミッキーマウスの著作権が切れる直前に行われていたため「 ミッキーマウス保護法 」「 ミッキーマウス延命法 」とも揶揄(やゆ)されることも。
ミッキーマウスも著作権が切れたらパロディ化される?
上記のとおり、ミッキーマウスの著作権も2023年末に消滅する予定です。
つまり2024年以降は、誰でも自由に使え、今回「 プーあくまのくまさん 」のような極端な改変映画の餌食になる可能性もあります。
とはいえ、ミッキーマウスはディズニーが商標登録済みのキャラクターでもあり、著作権が切れるのは、1928年11月18日に公開された短編アニメ「 蒸気船ウィリー 」のミッキーです。
下記のディズニー公式の動画をみても、顔や体の造形が大きく変わっていて、やや違和感を感じますね。2024年には下記アニメも自由に配布や商品化ができるようになります。
まとめ
日本で上映されることになった「 プーあくまのくまさん 」
パブリックドメイン化されたため、新たなエンターテインメント作品として登場しました。
残念ながら、映画としての評価は今ひとつのようですが、著作権や商標権について考えさせられる作品となりました。
ミッキーをはじめ、さまざまなディズニーキャラクターの保護期間が終了することで、今回のように全く新しい作品に出会うチャンスでもあるかもしれません。