「 僕が跳びはねる理由 」考察レビュー、自閉症について考える
映画ライフ楽しんでますか?
今回は、ペンネーム@ジョナさんからの投稿レビューです。
原作は、(自閉症である)東田直樹さんが13歳のときに書いた「 自閉症の僕が飛び跳ねる理由 」。
これが、(自閉症の息子を育てている)デイヴィッド・ミッチェル氏によって英訳され、34カ国以上で出版され大ベストセラーとなりました。
ジョスの両親(今作の出演者)がプロデューサーとなることで、作品が誕生したのです。
この記事では、今作の魅力・原作との関連性について考えてみます。
僕が跳びはねる理由
公開日
2021年4月2日
原題
The reason i jump
上映時間
82分
キャスト
- ジェリー・ロスウェル(監督)
- ジム・フジワラ
- デイヴィッド・ミッチェル
- アムリット
- ジョス
- ベン
- エマ
- ジェスティナ
予告編
公式サイト
作品評価
[rate title=”5つ星”]
[value 5]映像[/value]
[value 4]脚本[/value]
[value 3]キャスト[/value]
[value 5]音楽(BGM)[/value]
[value 3]リピート度[/value]
[value 1]グロ度[/value]
[value 4 end]総合評価[/value]
[/rate]
感想レビュー
好きだった点
今作が自閉症の人たちを知るための、架け橋となっている点。
東田直樹さんの原作を基にした、シンプルで研ぎすまされたナレーションが、彼らの見えている世界へのガイドとなっています。
細部を拡大したり、過去をフラッシュバックさせたり、自然の音を拡大したりと、繊細で美しい世界を体感できる工夫が素晴らしかったです。
既存のドキュメンタリーとはまるで違う、新鮮な驚きと発見に満ちていました。
嫌いだった点
東田直樹の原作本と雨の描写を融合させるシーンで、実際の本のページに水滴を落としていた所。
絵的には、綺麗で、スムーズな展開に繋がっていたのですが、本好きとしては、たとえ演出のためであっても、本を無駄にして欲しくないと思いました。
「 リメンバー・ミー(2018年) 」「 TENET テネット(2020年) 」の記事では、楽器の扱いに対して苦言を漏らしましたが、今作でも同じ理由です。
見どころ
今作に出演している6人の出演者(自閉症者)たちの、それぞれの生活をじっくりと追体験できました。
自然の中をまるで妖精のように、軽やかに動きまわる少年ジム・フジワラ。
見た光景をドローイングやペインティングで表現し、個展を開催するほどの芸術作品を生み出しているインドのアムリット。
自閉症の全寮制学校に入学するイギリスのジョス、アメリカ・バージニアで育ち、幼稚園の時からずっと深い友情で結ばれているベンとエマ。
自閉症に対しての偏見が根強いアフリカで生まれ育ち、啓蒙活動を続けているジェスティナと両親。
自閉症者たちの感性、苦しみ、葛藤を知ることで、彼らのことをもっと知りたいと思うようになりました。
考察レビュー
原作と、今作はどのように繋がっているのでしょうか?
原作は、自閉症に関する58の質問とその答えで構成されています。
これをそのまま映画化することは困難だったでしょうね。
では、作者の東田直樹さんを主人公としたドキュメンタリーにしたら、どうだったのでしょう?
もし、そうしていたら、今作のオリジナルな魅力は生まれていなかったと思います。
あえて原作者は登場させずに、東田さんの紡いだ言葉、出演者たちの姿、彼らの見えている鮮やかな視覚と聴覚のコラージュが、立体的に重なり合うことで、観客たちを自閉症の世界に引き込むことに成功したのでしょう。
タイトルにもあるように「 僕が飛び跳ねる理由 」は何でしょう?
その答えは、作品の中にありました。
映画の中に、そして原作の中に。
興味を持たれた方は、どちらからでも構いませんので、ぜひ作品に触れてみてください。
まとめ
劇中の、無理解が差別を生む、という言葉が胸に刺さりました。
「 見かけだけで判断しないでほしい。少しだけ僕の言葉に耳を傾けて、僕らの世界を旅してほしい 」
終映後、その足でまっすぐに書店へと向かいました。
何の本を買ったかは、述べるまでもありませんよね。