映画ライフ楽しんでますか?
今回は、ペンネーム@リリヲさんからの投稿レビューです。
映画好きですがホラーが苦手で、うっかり見てしまうと5年以上怖がり続けるリリヲです。
しかし、ホラーを避けるとなると良作を見逃し続けてしまうのも事実で、これはマズイ!と思い、鑑賞できそうなホラー、スリラーにチャレンジ中。
ネトフリで話題の「 ザ・コール 」
未来が変わる描写が「 テネット 」「 LOOPER 」っぽい近未来SF新感覚スリラーで、人間が怖いか?
幽霊が怖いか?
にもよりますが、私はセーフなスリラーでした。
ザ・コール

公開日
2020年11月27日
上映時間
112分
キャスト
- イ・チュンヒョン(監督)
- パク・シネ
- チョン・ジョンソ
- キム・ソンリョン
- イ・エル
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
感想レビュー

好きだった点
過去のヨンスク vs 未来のソヨンの頭脳戦。
未来が圧倒的に有利かと思いきや、ヨンスクの躊躇ない暴力性にソヨンの未来が何度も改変されていくのが新しくてゾクゾクする!
序盤のソヨンが母親に恨んでいる件りでは、真っ赤なマニキュアに注意を引くことで、過去に男関係で父親を傷つけたと観客に思い込ませてからの父親の死の真相を明かすのも見事。
嫌いだった点
未回収の伏線が幾つかあってモヤモヤする。
改変された未来で、ソヨンの母親の脳腫瘍はどうなったのか?
私がソヨンなら改変された未来で急いで母親を病院へ連れていく。
ヨンスクの友人のスーパーに養母が鶏を持って行った理由が分からない。
過去と未来のヨンスクが繋がったタイミングはいつなのか?
過去と未来は家の子機を使わないと繋がらないので、ソヨンの気付かぬ間に未来のヨンスクが侵入していたはずだが、それがいつか分からない。
見どころ
最初、可愛らしい容姿のヨンスクの目や表情が変化していく形相が凄まじい。
パク・シネもいつものコメディエンヌな可愛らしい感じではなく「 殺してやる!」と鬼気迫る役柄だが、チョン・ジョンソの頭ひとつ抜き出た演技に圧倒された。
考察レビュー

ヨンスクの母親の死因と境界性パーソナリティ障害パーソナリティ障害は遺伝する場合もあるが、精神病院で亡くなったとされるヨンスクの母親もヨンスクと同じ病だったのか?
それともヨンスクの凶暴性を目の当たりにし、心を病んでしまったのか?
ヨンスクは人格が切り替わるというよりは、元々の猟奇的な性格が虐待により病み、病名をつけなければならない警察の都合上、「 境界性人格障害 」と記録されただけなのではないかと感じた。
今作における5度の運命の改変と6度目の可能性ソヨンとヨンスクの運命は5度の改変により大きく変わるが、
2人それぞれの行動のタイミングがとても重要で、その優れた構成力に舌を巻いた。
例えば、1度目の改変後、ソヨンはPCで「 オ・ヨンスク 」の名前を検索するが、この時点でまだ殺人犯になっていないので、名前はヒットせず、
ソヨンはヨンスクが何らかの犯罪に絡む人物ではないと安心してしまうのだ。
この後、ソヨンとヨンスクのボタンの掛け違えはどんどん悪い方へ転がっていき、人生におけるタイミングの重要性をあらためて思い知らされた。
4度目の改変でソヨンの過去のソヨンの母親の奮闘により、2人の未来は守られたかのように思えたが、ヨンスクが5度目の改変を起こしてしまう。
(ここからは想像です)
未来のヨンスクがソヨンの母親が倒したはずの過去のヨンスクと子機を使って目覚めさせたことで、逃亡中のソヨンの母が目覚めたヨンスクの追撃に遭い死亡。
残された幼いソヨンは現在に至るまで洋館に監禁され続けたのではないだろうか。
今作の結末についてパク・シネが興味深い発言をしている。
「 私の母が幼いソヨンを救ったと思います。ただし、また始めることもできる。ヨンスクが勝った?それはないようです。」
そう。
現在においてソヨンの母親の生死は不明であり、ソヨンは現在のヨンスクさえ殺してしまえば、再び、母親と再会する可能性が残されているのだ。
まとめ

今作の原案となったイギリス映画「 恐怖ノ黒電話 」を未見だが、人間のドロドロした闇描写は十八番である韓国版の方が上なのではないかと感じた。
グロテスクな描写は少なく、二転三転するストーリーがサクサクと進んでいくので、ホラーが苦手な方でも楽しめる作品です。