【 あらすじ解説 】「 TENET テネット 」ネタバレなし考察レビュー
感想レビュー
好きだった点
いかにもクリストファー・ノーラン的な鈍色の空気感からのスタートで違和感なく入り込めた。
彼が描く厭世(えんせい)的な「 終末思想 」が濃縮されている。
地球上の人類は?
生命は消滅すべきなのか?
その引き金は、20世紀末には起きなかった最終戦争=第3次大戦なのだろうか?
人類は、生命は、その悪意が描く定義を阻止できるのだろうか?
そんな「 終末思想 」はちょっとした「 希望 」が凌駕することを教えてくれる。
嫌いだった点
宣伝手法は、ノーラン独特の「 拗らせ科学論 」とエッシャー的な「 拗らせ映像 」から「 難しい印象 」をアピールしすぎ。
故に、先入観が先行したイメージを蔓延させ過ぎだと感じざるを得ない。
見どころ
「 時間逆行 」「 タイムパラドックス 」もエッシャー的な騙し絵のヴィジュアル効果も素晴らしく、視点も感情も持っていかれるけど、それは多くの評論で語り尽くされていくだろう。
人物の「 心 」の行方はとてもシンプルなのではないか?
TENET=定義とすれば、定義に心を加えれば「 信念 」になる。
信念に「 情 」が加われば「 友愛 」になる騙し絵的な「 心の行方 」を感じて欲しい。
考察・疑問点
エントロピーの法則
「 拗らせ科学論 」で時間逆行でエントロピーが語られる。
科学や物理の一般的定義ならば問題なく、不可逆性を表現するならば反証が必須になるが、その面倒くさい部分を敢えて排除することで物語は進展。
しかし、熱力学を統計的に加速し増大する法則が語られ、逆行時間では炎は氷にかわる等あるが。
それでは逆行時間に存在する生命は呼吸不可だけなのだろうか?
ネゲントロピーの法則
エントロピーに反するネゲントロピーとう言う法則がある。
エントロピーの加速増大はシンプルに例えれば老化現象。
反対に、エントロピーが低下すると時間事象に則さず生命の自己組織化を散逸構造を維持できる。
これは「 名も無き男 」の年齢不詳で表現されている。
まとめ
極論として、本作品は初見では純粋に鑑賞。
2回目以降は「 鑑賞視点 」をヴィジュアル、科学、心、等々に縦列で区分けして鑑賞すれば、より作品の志向性を感じ取り易くなると思います。