映画ライフ楽しんでますか?
今回は、ペンネーム(@ジョナ)さんからの投稿レビューです。
タイトルから飛行機モノとイメージしてましたが、全く違いました(たまたま飛行機で上京する予定があったので)
天高く昇るというのは比喩でして、貧困から富裕層へのし上がるというニュアンスですね。
今作は、しがない青年がギャングスターへと昇りつめる過程を描いたスペイン映画。
今作に似たギャング映画を幾つか挙げながら、今作の魅力について書いてみます。
画像の引用元:公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
ライジング・スカイハイ

公開日
2021年4月2日
上映時間
121分
原題
Hasta el cielo
キャスト
- ダニエル・カルパルソロ(監督)
- ミゲル・エラン
- カロリーナ・ユステ
- アシア・オルテガ
- ルイス・トサル
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
感想レビュー

好きだった点
実話を元にしながら、アンヘル(ミゲル・エランが演じる主人公の青年)が2人の女性に惹かれていく様子を上手く描いている点。
そのうちの1人は昼に美容院、夜はバーで働くエストレジャ(ルイス・トサルが演じる)
その女性に心を奪われエストレジャのボーイフレンドであるポリと、殴り合いの喧嘩になったことがキッカケで、強盗の片棒を担ぐことになるのですが、
若気の至りであったのが、どんどん深みにハマっていく過程がリアルでした。
邦画「 日本で一番悪い奴ら(2016年)」の主人公(綾野剛)が、躊躇なく軌道を暴走し、どんどん悪に染まっていく感じを思い出しました。
今のままの生活に満足できず、それでもマトモな職に就くことはできないという状況下。
そこで彼が選んだ選択肢は、社会通念としてはアウトなのですが、とても自然で共感してしまうという感じは「 トレインスポッティング(1996年)」のようなそれ(ドラッグをキメこんでのトリップ体験)に似ていました。
もちろん劇中での話ですよ、念のため(笑)
嫌いだった点
「 天国なら死ぬ前に行く、100パー本気さ。死ぬ前に溶け合うまで君とヤりたい 」という日本語訳の歌詞が、オープニングとエンディングで流れる点。
スペイン語の曲だけ聴いていたら、深夜のマドリードを思いつめながらドライブする青年の表情にマッチしているのですが、日本語の歌詞がドーンと出てきて「 やれやれ 」という気分になりました。
何というか、春の夜の野良猫じゃないんだからさ。
やれやれ。
見どころ
もう1人のキーパーソンである女性ソレ。
彼女はマフィアのボスの娘であり、アンヘルの同窓生でもあります。
アンソレとエストレジャによる恋愛ストーリーで落ち着くかと思わせておきながら、アシア・オルテガ演じるソレが登場することで、絶妙な三角関係が生まれて面白さが増します。
アンソレはギャングに成り上がるためにソレと結婚するのですが、ギャング映画のドンパチとは違う意味で、3人の間に火花がドンパチ上がるのが醍醐味ですね。
考察レビュー
白昼堂々と宝石店を強盗するシーンに驚きました。
スリの多いことは、スペインを旅行経験のある友人の話で聞いたことがあるのですが、実話ベースである今作のギャングたちの破茶滅茶ぶりに、マドリード近辺の治安が少しばかり心配になりました。
今作を見ながら思い出した他国のギャング映画を挙げてみます。
- アメリカ「 ヒート(1995年)」
- イタリア「 ゴッドファーザー(1972年)」
- ブラジル「 シティ・オブ・ゴッド(2002年)」
- 日本「 アウトレイジ(2010年)」
- 韓国「 悪人伝(2020年)」
これまであまり意識したことがなかったのですが、スペイン映画の映画界における位置付けは、どうなのでしょうか。
今作のスペイン映画としての評価はどうなのか気になるところです。
最近みたスペイン映画だと「 ボルベール<帰郷>(2006年)」がとても良かったのですが、ホラーの「 REC / レック(2007年)」シリーズも傑作でした。
まとめ

ライジング・スカイハイ。天高く昇る。
神戸から羽田へと向かう飛行機の中で、前日に観た今作のシーンの数々を思い出していました。
貧民街から抜け出し天の高みへと昇りつめた青年が、裏切りと悪事の果てに手に入れたものとは何だったのでしょうか。
昇れば昇るほど、奈落の底へと向かっていることに、気づかないままに。