6月末日。夜も更けてちょうど1年の半分が終わるという今、この記事を書いている。
5月の公開からおよそ2カ月が経つわけだが、本作は未だにNetflixの国内TOP10に居座り続けているのだから本当に凄まじい。
正確なデータを追えていないが、これほどのロングランはNetflixの国内ドラマとしては異例なのではないだろうか。
心を入れ替えた猿桜の、スポーツドラマ的激熱な展開となった前話だったが、とうとう本エピソードで終幕を迎える。

サンクチュアリ‐聖域‐(第8話)

第8話 – あらすじ
引退する猿谷の断髪式が開かれた。新年明け1月場所の初日、猿桜が相手は静内だった。物語の結末はいかに。
公開日
2023年5月4日
上映時間
31分
キャスト
- 一ノ瀬ワタル
- ピエール瀧
- 染谷将太
- 小雪
公式サイト
予告編
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
サンクチュアリ‐聖域‐第8話の見どころ

猿谷の断髪式はきっと、戦い続けた一人の男が怪我という魔によって、志半ばで土俵から退くことになる悔しさなどを描いた感動的なシーンなのだろう。
そこには当然、妻と息子の姿もある。
後援会、部屋の後輩力士たち、息子と名前を呼ばれ、猿谷の髪にハサミを入れていく。そして止めバサミとして親方の名前が呼ばれる。
その瞬間、胸の奥に込み上げつつあった感情は霧散した。
「 奥さんは呼ばれんのかい!」
本作は言うまでもなく凄まじい熱量の作品で、テンポもよくて面白い。
久しぶりにハマったと思える作品だったと言える。
だからこそ、忘れかけていた。危うく騙されることだった。
1話の記事でも書いた通り、角界は異常なのだ。
というのも、きっと猿谷の現役生活を影で最も支えたのは妻のはずだ。
その妻にハサミを持たせずにして、何がけじめだろうか。
ああ、愚かなり。
角界はとてつもなく愚かで、浅はかと言わざるを得ない。
そして異常の内側で悦に浸っている登場人物たちもまた、愚かで浅はかだと、あえて言わせてもらおうと思う。
角界をぶっ壊すと息巻いていた猿桜も、角界の常識にいちいち食って掛かり「 迎合なんてしません 」と宣言していた記者・国嶋も、いとも簡単に、いつの間にか角界の沼に引き摺り込まれてしまった。
このままでいいのか、と筆者は問いたい。
もしここで終わるなら、「サンクチュアリ‐聖域‐」はありがちなスポコン不良更生ドラマに成り下がってしまうだろう。
とはいえ、最終話なのでここで終わるほかにない。
言葉にし難いもどかしさが残っている。
まとめ
思い返せば1話で時津は「 異常の上に成り立つ異世界、それが角界なんだ 」「 その異常の先にしか見えてこない世界があるんだ 」と言っていた。
それを言われた国嶋も、猿桜も見事に異常に取り込まれてしまったことは残念だが、まだその先にある景色は見えていないと言っていいだろう。
「 サンクチュアリ‐聖域‐ 」はこれから一体どんな景色を私たちに見せてくれるだろうか。
もしそれが、ただ伝統に取り込まれ、迎合した果ての風景だというのなら、残念だと言わざるを得ない。
角界をぶっ壊すという威勢のよさが、単なる一過性の反抗期ではないことを祈っている。
と、最後なのでやや辛口だったが、それはそれとして、本シリーズはめちゃめちゃ面白かった。
辛口なのは面白かったからこその期待が込められているのだ。
詳細への言及は避けるが、もう既にドラマを観終えた読者なら「 これで2期やらなかったら嘘だろ!」と叫びたくなっただろうし、なんなら実際に叫んだ人もいるに違いない。
続編に大いなる期待を込めて、気ままに書き綴ってきた本記事もいったんは千秋楽ということにさせてもらいたい。
