猿桜VS静内という、本作の肝ともいえる取組の始まりとともに終えた前話だったが、予想の斜め上を行く衝撃の展開が待っていた。
え、待って、あれってそんな簡単に千切れるの…?
もう視聴済みの人であれば、そう思った人も少なくないだろう。
あるいは「 普通あそこまでやらんだろ… 」と思わず目を逸らしてしまったかもしれない。
グロが苦手な方であれば、要注意の本話。
とはいえ、本話は水面下で色々な動きもあり、かなり見ごたえのあるエピソードだった。
色々と触れたいことはあるが、今回はストーリーの大筋から少し逸れ、「 タニマチ 」について言及したい。

サンクチュアリ‐聖域‐(第6話)

第6話 – あらすじ
猿桜との取組に臨む静内は、心と体に大きな傷を刻んだ。その後、故郷を訪れた静内は、自身の暗い過去と向かい合う。
公開日
2023年5月4日
上映時間
53分
キャスト
- 一ノ瀬ワタル
- ピエール瀧
- 染谷将太
- 小雪
公式サイト
予告編
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
サンクチュアリ‐聖域‐第6話の見どころ

5話にて、猿桜の「 タニマチ 」になることを提案した金持ち青年・村田。
タニマチというのは、ひいきの力士の無償スポンサーのことで、細木数子氏が第68代横綱・朝青龍のタニマチだったことなどが知られている。
力士のスポンサーでいるには、食費から何から莫大な金がかかるわけで、金持ちにとってはタニマチとして、自分の周囲に力士をはべらせておくことが1つのステータスになるということらしい。
前回、力士を隣りに置いておくのかっこいいじゃん、みたいな軽いノリで猿桜のタニマチになった村田は、快気祝いと称して猿桜を無理矢理パーティーに呼びつける。
とはいえ、猿桜は意気消沈。
「 タニマチの命令は絶対 」
「 タニマチだよ?」
そんな言葉とともに飲めと強要された120万のボトルを猿桜は払いのけて粉々にしてしまう。
突っかかる村田だったが、猿桜に叩かれまくり、挙句の果てに女の子たちの前で失禁してしまう。
あらゆるスポーツ界において、スポンサーが強いというのは分からなくもない。
が、呼び出されたら応じなければならず、酒を飲めと言われたら飲まなくてはならない。
これでは、もはや意のままに動くアクセサリーである。
また、一方で静内を調べていた記者・安井は情報のリーク元として、連勝記録を追い抜かれそうになっていた人気力士・龍貴に目をつける。
日本を揺るがすネタになると喜ぶ安井だったが、彼のもとにはただならぬ空気をまとう老人・伊藤(笹野高史)が現れ、リーク元が自分であることを告げる。
さらに伊藤は柔らかな物腰とは裏腹に、安井の別れた妻子の住所や好きなゼリーまで徹底的に調べ上げていることをほのめかし、龍貴のネタから手を引くようにと警告する。
急に裏社会のフィクサーみたいな奴が登場し、不穏さが尋常じゃないのだが、どうやらこの伊藤という老人は龍貴のタニマチ。
ちなみに静内と龍貴の連勝記録を巡る一件には、この伊藤と、龍貴の母親にして龍谷部屋の女将である弥生が絡んでいる。
イチジク(女性の暗喩としてポピュラー)を齧るタニマチ・伊藤と「 お礼をさせて 」と口にする弥生の関係は想像に難くない。
また、イチジクを音を立てて齧るさまは、角界における低すぎる女性の地位を象徴してもいるのだろう。
龍谷部屋、まっ黒である。
まとめ
これらはあくまでドラマだし、どこまでリアリティをもって描こうとした意図があるかは定かではない。
加えて、最近では大金を積んで力士をはべらせることが金持ちにとってのメリットにならなくなってきているとも聞く。
といいつつ、ジャニーズの新社外取締役に就任した白井氏は、日ハムコーチ時代にタニマチとの会食に、滅多に外食しない大谷選手らの若手を連れ回していたと、
報道されたりもしていたし、スポーツと金は相変わらずベッタリでもある。
型破りな力士である猿桜が「 タニマチ 」のようなお世辞にも素晴らしいとは言い難い伝統の数々――角界に蔓延る「 異常 」に一体どうやって対峙していくのかもまた、一視聴者として気になる部分である。

