前話のラストで、犬嶋親方らに礼節に欠ける振る舞いを理由として猿桜の即刻引退を迫られていた猿将部屋。
一波乱かと思いきや、部屋の女将・花(小雪)の機転により事なきを得る。
1話でも見た通り、女性は土俵に近づくことも許されず、相撲の世界では周縁に立たされている。
しかしクレオパトラや妲己がそうだったように、いつの世も男たちの手綱を握っているのは女なのかもしれない。
物腰柔らかく、控えめな女将の台詞や所作に、凄みを感じらさせられた。

サンクチュアリ‐聖域‐(第4話)

第4話 – あらすじ
協会から引退を迫られる猿桜。敵対者たちは、おかみの助けで難を逃れた猿桜を執念深く攻撃し続ける。
公開日
2023年5月4日
上映時間
52分
キャスト
- 一ノ瀬ワタル
- ピエール瀧
- 染谷将太
- 小雪
公式サイト
予告編
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
サンクチュアリ‐聖域‐第4話の見どころ

女将さんのおかげで難を逃れたとはいえ、粘着質で陰湿な犬嶋・馬山両親方の「 猿桜潰し 」は執拗に続く。
痛快だったのは、その嫌がらせに対する猿桜のアンサーだ。
腕を折りにきた馬山部屋の力士との一番。
両腕を相手にがっちりと抱え込まれ、苦しみ悲鳴を上げる猿桜。
騒然となる(ほくそ笑む)会場だったが…
悲鳴はまさかの演技。
猿桜は密着状態からのヘッドバットで相手を打ちのめす。
そのまま押し出しで無事勝利――かと思いきや、普通に勝つだけで終わらないのがこの男である。
「 仕返し 」の一手は、やはりふてぶてしく、どうしようもなく幼稚だ。
だが、猿将親方と同じように、画面の前で思わず笑みを溢し、胸が湧いた人はきっと少なくないだろう。
2話でちらっとだけ映っていた男・村田(金子大地)が本格的に登場。
キャバクラに七海といた猿桜の前に現れ、金にものを言わせたド派手な遊びに連れ込んでいく。
この村田、いわゆるどんなビジネスをしているのか全く見えないタイプの「 胡散臭い 」金持ちなのだが(投資家らしい台詞がある)、
横綱なら億単位で稼げると言った猿桜に「 やっす 」と言ってのけ、優勝祝いとして札束を無造作に渡すくらいなので、図抜けた富豪であることは間違いない。
猿桜は村田に気に入られてまんざらでもない様子だが、こういうタイプの金持ちと関わったドラマで事態が好転する予感がしない。
本作は1話から借金やカツアゲなどの描写があり、猿桜のパーソナリティにも金の問題は深く関わっている。
金が持つ魔性が、また1つ新たなドラマを生み出しそうである。
まとめ
大相撲でも八百長などの問題があるように、多くのスポーツで金の問題は深い闇を作っている。
大相撲には〝図抜けた金持ちが力士の後見人になって無償で支援する〟「 タニマチ 」という仕組みが存在する。
村田の登場が、大相撲を取り巻く「 金 」の因習を軸にしたドラマを展開するのでは…と期待感が高まるエピソードだった。
さらに本話では、静内の過去を探る謎の記者・安井(毎熊克哉)も登場し、いかにも怪しい風体で静内の故郷・羅臼を訪れ、静内の母と弟が死んだ事件を探っていた。
デビュー以来無敗を守って5月場所を優勝した静内はまさに怪物級の強さで、他の力士を圧倒し続けている。
本当に家族を殺しているのか――と、何も語らず(そもそも台詞が全くない)不気味な存在感を放つ静内に疑惑が深まり、こちらからも目を離すことができない。

