主要そうな登場人物たちが出そろい始めた2話だった。
これまで相撲になじみがなかった筆者のような視聴者は、相撲の世界や用語を調べながら楽しんでいるのではないかと思う。
公開から1カ月が経った今、主演の一ノ瀬ワタルはもちろんのこと、猿将部屋の力士たち、ホステス・七海を演じた寺本莉緒など、出演者に続々と世間の注目が集まりまくっている。
多くの俳優たちの「出世作」となる予感しかない本作。
日本の役者業界の未来の〝横綱〟がいるかもしれない必見の1作である。

サンクチュアリ‐聖域‐(第3話)

第3話 – あらすじ
清は悪知恵を働かせ、父親の入院費用を工面するためにお金を稼ぐことにした。猿将親方は、本場所に挑もうとする清に、猿桜という四股名を授けるのであった。
公開日
2023年5月4日
上映時間
50分
キャスト
- 一ノ瀬ワタル
- ピエール瀧
- 染谷将太
- 小雪
公式サイト
予告編
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
サンクチュアリ‐聖域‐第3話の見どころ

今回はコミカルな〝おバカ〟シーンが多かった。
小瀬は延々と自撮りをしているイケメン力士・猿岳の熱烈なファンからテンポよくお金を巻き上げてみたり、七海のおっぱいに鼻の下を伸ばしていたら巻き上げた50万をあっさりすられたり。
公園友達の静内との絡みもあり、一方的に絡んでみて煙草を喫わせてみたりもしていた(咽る静内を見て小瀬は大爆笑していた)。
小瀬は憎たらしいし、個人的には絶対自分の周りいてほしくないタイプの人間なのだが、どうしても憎めないのは、こういう底抜けに〝バカ〟で〝アホ〟な愛らしい一面があるからなのかもしれない。
こんな感じでゆるい3話だが、少しずつ小瀬の相撲に対する意識への変化も見られた。
猿谷にされたアドバイスを真摯に受け止め、小瀬は先輩力士たちの稽古を真剣に観察し始める。
夜中の公園では七海からの連絡に全く気付かないほど一心不乱に〝コソ練〟に励む。
真面目や努力なんてものとは無縁で、いつもふてぶてしく恥知らずな男・小瀬清だが、勝利への渇望と相撲に対する熱意が徐々に頭をもたげ始めているのを感じた。
勝てば官軍という言葉がある通り、相撲だって「勝ってなんぼ」だという側面がないわけではないだろうと、門外漢の筆者は勝手ながらに思う。
小瀬のビックマウスも、礼儀を失している行為と言えばまあそうなのだが、ボクシングとかでよくあるマイクパフォーマンスだとすれば、観客を楽しませるエンタメとしてはアリな気もしなくもない。
だが相撲は勝負が大事な競技である以上に武道であり、つまるところ「 道 」でもある。
力士たちはみな、面倒な礼儀や作法を重んじ、かたちのない敬意というものを信仰している(少なくとも猿将部屋で最も真摯に相撲に向き合っている猿谷はそういう存在に見える)。
そしてその信仰や伝統は、ときに歪みながら「 女は土俵に近づくな 」などという時勢にそぐわない不合理な姿をもって私たちの前に現れる。
ふてぶてしい小瀬の進む道がどこへ向かうのか、まだ3話時点ではどうにも予想できない。
しかし親方から与えられた四股名を「 ダサい 」と一蹴した小瀬が、自分自身の相撲の道を進み、その異常の先の景色を望むのはまだもう少し先のことになりそうである。
まとめ
本話からようやく本番――5月場所が始まった。
稽古では先輩力士にしごかれまくっていて歯が立たない猿桜だが、本番に強いタイプなのか取組では圧勝。
相変わらず礼儀の「 れ 」の字も知らないふてぶてしさも健在で、関わるあちこちで波紋を立てていく。
その結果、初日を無事に終えた夜、猿将部屋を目の敵にしている犬嶋親方とその腰巾着の馬山親方が猿将部屋を訪れる。
「 あの猿桜ってガキ…今日中に引退させろ 」
ドラマらしく、次回への引きもばっちりである。
また、前回で痛烈な存在感を放っていた静内の、その異常な強さもヴェールを脱いだ。
結果はまるで子供をあやすような完勝。
そもそも身体の大きさが違いすぎて、相手力士がただただ可哀想である。
今後、静内が猿桜のライバルとして立ちはだかることは明白。
2人の取組が待ち遠しくてたまらない。

