今回は、ペンネーム@ジョナさんからの投稿レビューです。
タイトルは作品の顔と言われます。
では、「 いんちきーズ 」はどうでしょうか?
正直、ビミョーですよね。
しかし、観賞後、このタイトルに納得する部分もありました。
本記事では、今作の魅力とタイトルについて考察してみます。
いんちきーズ

公開日
2021年4月28日
上映時間
95分
キャスト
- ペドロ・アントニオ(監督)
- マルクス・マジェーラ
- サマンタ・シュムーツ
予告編
なし
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
感想レビュー

好きだった点
ブラジル的なノリ(ブラジル感)が良かったです。
弁舌さわやかな詐欺師のクロビス(マルクス・マジョーラ)と、今にも踊り出しそうな義妹ロハネ(サマンタ・シュムーツ)がコンビを組み、陽気に詐欺を働きます。
テンポの良さと詐欺の手口には、「 コンフィデンスマンJP(2019年)」を思い出しました。
リオデジャネイロやサンパウロといったブラジルの名所が登場するので、観光気分で観られるのも良いですね。
嫌いだった点
コメディー色を強くするあまり、細部のツッコミどころが多すぎる点。
クロビスが車で、うっかりロハネをはねてしまう(?!)シーン。真正面から衝突したのに、ロハネが真横に飛んでいくのは力学上、おかしいですね。
大詐欺で得た大金を積んだワゴンが、ニワトリを運ぶ車と対面衝突して、二人が無傷のまま空中を舞い上がるのもおかしいです。
クロビスが画家志望だったという設定だとしても、1週間足らずで超有名画家の作品を鑑定士を騙すほどの完成度で描きあげるのもあり得ないです。
ギャグ映画ですけどね。
クロビスが喋りっぱなしで、ストーリー進行のナレーションまで説明過多になっているのが気になりました。
見どころ
とは言ったものの、立板に水とは、彼のためにある言葉ではないか、と思ってしまうほどに見事な喋りっぷりが魅力でもあります。
強盗をせずに、銀行で11000レアル(約23万円)を手に入れたのも、彼の名スピーチによるものでした。
小切手詐欺であるにも関わらず、窓口の銀行員がサインが疑わしいことを指摘すると、サインをした(架空の)叔母がパーキンソン病で筆跡がこのようになっていて、
貧しい子供たちへの寄付のために直ちに現金が必要であるのに、こんなに行列ができてしまっていて・・・
以下、数分続くトラヴィスの弁論は、いつしか周りの客たちの心を一つにまとめ「 換金せよ! 」のシュプレヒコールを巻き起こし、全員でブラジル国歌を合唱するほどになります(笑)
あの有名なリオの町を見守るコルコバードの丘のキリスト像まで、実業家に売ってしまうのには、あまりのバカらしさに笑ってしまいました。
しかし、これは、パリのエッフェル塔を同じ手口で二度も売却したという実在の詐欺師をお手本にしているそうですよ。
考察レビュー
さて、今作のタイトルですが、原題はポルトガル語の「 os salafrarios 」
グーグル翻訳によると「 悪党 」を指すようです。
もし「 悪党 」が今作のタイトルだったとしたら、まず邦画の「 悪人(2010年) 」「 凶悪(2013年) 」、あるいは韓国映画「 悪人伝(2019年) 」などを連想してしまいますが、
全く雰囲気もジャンルも違うので、今回は意訳で良かったとは思います。
そこで「 いんちきーズ 」となるのですが、詐欺をいんちきとすることには違和感を覚えます。
では、詐欺師を表す「 コンフィデンスマン 」は、いかがでしょう?
これは、いけませんね(笑)
ところで、ネトフリでは、原題が英語の「 Get the Grift 」となっています。
こちらは、詐欺やペテンという意味が含まれるので、やんわりと意訳して「 いんちきーズ 」。
ラストシーン、兄妹がいんちき稼業から足を洗いトレーラーでチキンやサラダを販売することに落ち着きます。
その店名が「 os salafrarios 」
字幕はありませんでしたが、そこは「 いんちきーズ 」の字幕付きで、チキンと掛け合わせつつ、オチとして示すべきでは?
いや、そもそも「 いんちき 」と「 チキン 」はかかっていないのか?
こんなしょうもないことが気になりました(笑)
まとめ

タイトルで鑑賞する作品が決まることもあるように、テキトーにはつけられませんよね。
一見、パッとしないタイトルですが、イメージと離れないように、既作品のパクリとならないように付けられたようですね。
いんちき作品ではないので、安心してブラジル旅行を楽しんでください。
くれぐれも詐欺にはご用心。