
舞台は、冷戦時代、1988年のポーランド。
窃盗と脱走を29回も繰り返した、実在の大泥棒ナイムロツキの物語。
他の脱獄映画と比較しながら、今作の見どころを記します。
画像の引用元:IMdb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
脱走王ナイムロ


公開日
2022年5月11日
原題
najmro
上映時間
100分
キャスト
- マテウシュ・ラコビチ(監督)
- ダビド・オグロドニク
- ロベルト・ビェンツキェビチ
- ヤクブ・ギェルシャウ
予告編
なし
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー


タイトルが脱走王なので、脱走シーンは方法やタイミングなど、期待しちゃいますよね。
視聴開始の1分で早速、脱獄したので笑っちゃいました。
休憩時間の中庭で体操をしながら、魔法のように消えます。
脱獄映画としては、最短最速ではないでしょうか。
ちょっとマニアックですが「 板尾創路の脱獄王(板尾創路 2009)」では、脱獄王鈴木が開始5分で脱走します。
感動作の「 ショーシャンクの空に(フランク・ダラボン 1994)」も、脱獄不可能とされたアルカトラズ刑務所の脱走を描いた「 ザ・ロック(マイケル・ベイ 1996)」も、
なかなか出られないからこそ、脱走までの過程やスリリングな試行錯誤を楽しめますよね。
ところで、個人的には、監獄の場面で最も緊張感の溢れる映画は「 羊たちの沈黙(ジョナサン・デミ 1991)」でのハンニバル・レクター教授とクラリス捜査官の対峙のシーンだと思います。
ハンニバルの脱獄も、また見事でしたね。
ともあれ今作の見どころは、脱獄シーンではなく、映像の撮り方・見せ方にあります。
音楽をスタイリッシュに挿入する手法は、若者世代に熱烈な支持を受けた「 トレインスポッティング(ダニー・ボイル 1996)」のようでもあり、
ストップモーションを多用した映像は「 バッファロー’66(ヴィンセント・ギャロ 1998)」を彷彿としました。
いささか同じ手法を乱用しすぎて、表現がくどく感じてしまう場面もありましたが、最後までそのまま突っ切っていたので、むしろ爽快さすら覚えました。
内容は冷戦前後のポーランドの背景を知っておけば、さらに深みは増します。
銃撃・カーチェイス・愛・という娯楽映画の要素が、テンポよく展開されているので無心に楽しめるでしょう。
まとめ


今作はこれまでの脱獄映画とは毛色の異なるスタイリッシュな娯楽作品でした。
映画界に必要なのは、アイデアや表現の使い回しではなく、「 既存の概念 」からの脱獄に他ならないのです。