「 ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密 」考察レビュー、自国ファースト&移民への皮肉が込められた良作

当ページの画像はIMDbより引用
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映画ライフ楽しんでますか?

今回は、ペンネーム(@mai)さんからの投稿レビューです。

ダニエル・クレイグ、クリス・エヴァンスを筆頭に人気俳優を据えた、豪華作品。

その魅力は、キャストだけにとどまらず、ストーリーとしても展開がどんどんと進んでいき面白かったです。

しかし、エンタメとして面白いというだけには終わらないのが、今作の魅力。

画像の引用元:IMDb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)

目次

ナイブズ・アウト

©︎ナイブズ・アウト

公開日

2020年1月31日

上映時間

130分

キャスト

  • ライアン・ジョンソン(監督)
  • ダニエル・クレイグ
  • クリス・エヴァンス
  • アナ・デ・アルマス
  • ジェイミー・リー・カーティス
  • マイケル・シャノン

予告編

公式サイト

ナイブスアウト

感想レビュー

©︎ナイブズ・アウト

好きだった点

話が二転三転して、先の展開が読めない面白さとキャラが立ち、観ていて飽きない点が好きでした。

130分という決して短くはない上映時間ですが、その長さを感じさせない楽しさがありました。

嫌いだった点

「 殺人事件の犯人探し 」から「 遺産相続 」へと物語がシフトしていく性質上、初めの冒頭部分の回想や人物関係の紹介が長く感じてしまいます。

もちろん、そのキャラの位置付けがなければ、後半の展開を楽しめないので仕方がないことではあります。

話が本筋に展開するまでに、多少時間がかかる点はマイナスだなと思いました。

見どころ

今作はミステリーとしてもちろん楽しめます。

ただ、そのミステリーの裏には「 現代のアメリカ 」への辛辣な皮肉も含まれているのです。

それを鼻につかない程度にコメディに変えて提示してくれるからこそ、「 ナイブズ・アウト 」はエンタメ作品としての体裁を保っています。

そのミステリーと皮肉の融合が見どころですね。

考察・疑問点

©︎ナイブズ・アウト

「 ナイブズ・アウト 」で示される現代のアメリカ社会への皮肉は下記のとおり。

  • 「 自国ファースト 」に対して
  • 「移民」に対して

「自国ファースト」への皮肉

今作の主人公である看護師・マルタは移民系で、その母親は不法移民という設定。

不法移民自体は良いことではないですが、アメリカでは珍しくはないはずです。

その少しだけ負い目を負っているマルタに対して、遺産相続に躍起になったスロンビー家は「 家族のように思ってる 」と伝えるのです。

しかし、この言葉が真実なわけがありません。

このスロンビー家の言動全体に透けて見えるのは、移民系を見下していることと、マルタの事情や故人・ハーランへの扱いは棚に上げた「 自分たちが一番 」という現代の「自国ファースト」に通ずる姿勢です。

また、先住民から買い取った家を孫のランサムが「 先祖代々受け継いだ家なんだ 」と必死に告げるシーンは、自分たちも大元を辿れば移民である事実を棚に上げた主張で皮肉めいてますよね。

そこを、ダニエル・クレイグ演じるブノワ・ブラン探偵が笑い飛ばす流れまでもが最高でした。

「移民」への皮肉

冒頭で出てきたマグカップが、ラストでマルタの手に渡り、マルタはそのマグカップを片手にスロンビー家をバルコニーから見下ろすというのは凄く印象的なシーンでした。

ここが印象的になった一つの要因に、そのマグカップに「 My house My rule My coffee 」と記されていることが挙げられます。

マルタのことを利用しよう、マルタなんかに遺産を渡してなるものか。

そうやって、散々マルタを見下してきたスロンビー家が結局は家も遺産も奪われ、マルタに見下ろされているのです。

ここに垣間見えるのは、「 移民に奪われるアメリカ 」だと思います。

自分達は大丈夫だと、何の確信もなくタカをくくっていたはずなのに、いつのまにか移民の人たちに高い地位や職を占められている。

さらに言えば、ハーランのような能力の高い、自身の力のみでのし上がった人は、マルタのような「 本物 」を見極める力がある。

ただ単純にアメリカ全体を大まかに批判するのではなく、今手にしている地位や財力は自身の力で勝ち取ってきたものなのかどうかを焦点に、皮肉を展開していくのが素晴らしいです。

マルタも看護師として、人として素晴らしい人格の持ち主でした。

その「 本物 」かどうかが大事なのです。

このように、先住民から土地を奪った過去を持ちながらも、同じ境遇にある移民のことは見下し、排除しようとする「 自国ファースト 」のアメリカに対しての辛辣な皮肉を呈するのがこの作品の魅力でした。

まとめ

©︎ナイブズ・アウト

エンタメ作品として面白いのはもちろん、意外と社会派な面も伏せもつ「 ナイブズ・アウト 」の魅力はいくら語っても足りないくらいに沢山ありました。

エンタメとして楽しむも良し、社会派な面を深読みするのも良しで、様々な楽しみ方ができる作品です。

今回は探偵役として面白おかしくキャラを演じていたダニエル・クレイグ。

彼の最新作「 007 No time to die 」が410日に上映されます。

また、クリス・エヴァンスは「 キャプテン・アメリカ 」、「 IT 」シリーズのジェイデン・マーテルなどなど。

キャストがかなり豪華なので、この作品が気に入った方はキャストから他の作品を探してみるのもいいかもしれません。

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記事の監修者

独立系の映画会社 / 最新映画 〜ドキュメンタリーまで、幅広いジャンルを配信中

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