
「 ジュラシック・パーク・シリーズ 」第6作目であり、「 ジュラシック・ワールド・三部作 」の完結編である。
シリーズ6作目となると基本的な展開と定番シーンを上手に構成して楽しませてくれる。
夏休みに最適な映画とも言える。
自然調和の科学と未来追求を示唆している。
しかし、恐竜展開がダイナミック過ぎて本来の主旨が霧散している。


画像の引用元:IMdb公式サイトより
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ジュラシック・ワールド / 新たなる支配者


公開日
2022年7月29日
原題
Jurassic World: Dominion
上映時間
146分
キャスト
- コリン・トレヴォロウ(監督)
- クリス・プラット
- ブライス・ダラス・ハワード
- ローラ・ダーン
- ジェフ・ゴールドブラム
- サム・ニール
- ディワンダ・ワイズ(英語版)
- ママドゥ・アティエ
- B・D・ウォン
- オマール・シー
- キャンベル・スコット
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー


故マイケル・クライトンとスティーヴン・スピルバーグとの対話から生まれたとも言える「 ジュラシック・パーク 」は1990年に刊行され、その後ワーナー・ブラザース(ティム・バートン)、
ソニー・ピクチャーズ(リチャード・ドナー)、20世紀フォックス(ジョー・ダンテ)と映画権争奪戦において、ユニバーサル・ピクチャーズ(スピルバーグ)が獲得して1993年に公開された。
その後、原作と映画は第2弾まではリンクするが、「 ジュラシック•パークⅢ 」以降は独自に展開して約30年を迎える。
もともと、クライトンの作品は荒唐無稽でコミック的な主軸に対して、科学や経済の専門用語(専門知識)を列挙することで、
コミックスやライトノベルにならずに重厚なSF作品に鎮座されてると思っている。
それを映画では反転させて、科学的知識と経済戦略思想を意識させつつも。
「 恐竜!ダイナソ-!ラプトル!T-REX!ブルー!! 」
恐竜を畳み掛けることでエンターテイメントとして確立させている。
この公式を確立させたのは、他でもないスティーヴン・スピルバーグその人だろう。
結果として御大忖度的に、各作品は類似展開を繰り返すことになる。
特に利潤追求名声欲求にエゴ丸出しの末、肉食恐竜に捕食される連中は、旧くから古代生物学の中で語られ続けた「 知能が低く愚鈍な生物 」が恐竜でなく人間の本質なのかと考えてしまう。
今作では、旧モンサント社(現:バイエル社)をイメージさせるシチュエーションから展開していた。
モンサント社はアメリカの多国籍バイオ化学企業で、ヴェトナム戦争の枯葉剤を製造し、後に市販除草剤「 ラウンドアップ 」に発展する。
この除草剤は自然生息する全ての草木を排除するが、モンサント社が、遺伝子操作され、穀物種子には影響しないと言うビジネスを確立した。
遺伝子操作(ゲノム操作)イナゴと、このイナゴに狙われない農作物の関係はモンサントを思い起こさせた。
更にモンサントが主軸ビジネスを変えずに、悪評となった自社名を隠すように、ドイツ企業に買収され(させた?)、現在はバイエルと名乗っている。
今作の恐竜たちを保護するとした企業名のバイオシンの名称にも、含みを感じるのは深読みしすぎだろうか?
上記した要素をもっと深掘りした脚本なら非常に好みで、恐竜好きも相まって高評価にしたかった。
結果としては大恐竜博覧会ならぬ大恐竜エンタメアクション映画であり、夏休みの子供向けに展開した作品として落ち着いた。
それでも、現段階で6作品発表され、ところどころ迷走してたシリーズは、レジェンドの3博士&科学エゴ博士の登場と加齢に伴う人間感情への原点回帰なカオス行動が、
ワールド・シリーズのメインキャストたちのネイチャー思考と共鳴したことで、クライトンとスピルバーグが描いていたであろう本質に取り敢ずは収束したのではないだろうか?
そして新たなる支配者の中で、共存共栄を認知できているヴェロキラプトルのブルーとベータの姿は、ジェンダーレスが老若男女だけでなくて、生物の多様的理解へ向けた希望論とも感じている。
まとめ


今作についてと言うよりも、ハリウッド映画界の1つの区切りが起こっていると感じている。
90年代前後に発表され、シリーズ化された人気作品の多くが30年強を節目に、終焉とも感じさせる区切りの提示を始めてないだろうか?
今作が収束した製作背景に、レジェンダリー・ピクチャーズが参加していなかったことが、アメリカ的な理念でまとまった結果かもしれない。
ハリウッドの中国資本離れが始まっているのか?

