こんにちは、Johnです。
映画ライフ楽しんでますか?
今回は、ペンネーム(@えだまめ)さんからの投稿レビューです。
近頃はしっとりした空模様になってきましたね。
こんな時にはちょっと暗くて考えたくなる映画が合うんですよね。
今回は、出産中に実家へ盗みに入った父と子どもの物語。
「 いつくしみふかき 」
サクッといきましょう。
画像の引用元:IMDb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
いつくしみふかき

公開日
2020年6月19日
上映時間
107 分
キャスト
- 大山晃一郎(監督)
- 渡辺いっけい
- 遠山雄
- 金田明夫
予告編
公式サイト
感想レビュー

好きだった点
村を追い出された進一が牧師の源一郎のところに駆け込むシーン。
何に対しても無気力な進一は、とうとう母親の弟と対立。
しまいには村人に悪魔の子扱いされて追い出されてしまいます。
母親さえも進一の味方にはなってはくれませんでした。
泣く泣くその村を出て、牧師の源一郎を頼りに訪ねます。
進一が教会へ到着すると、源一郎は優しく抱きしめながら「 私は誰も悪くないと思う 」 と語りました。
誰かに裏切られて、その子どもを悪魔だと言って村人全員で追い出すことに至ったこの一連の不条理を優しく受け止めてくれるシーン。
罪を悪んで人を悪まずってやつですね。
心温まるシーンです。
絶妙にクスッと笑えるコメディシーンも入っているところも好きでした。
嫌いだった点
始まりのシーンにしゃがれた声の歌が入る作品を他にも見ていたので、 アングラ作品あるあるを感じてしまいました。
嫌いではないですけど、あるあるで心の⻄川くんがそっと気絶していました。
見どころ
やはりラストの進一が父親の葬式で謝罪するところからの入浴するシーン。
このシーンに込められた進一の感情こそ、今作のメインだと思いました。
いつくしみとは何なのか?
それはお互いを認めるとか、相手を思いやるとか、綺麗な形でなくても存在するのだと思わせてくれるシーンです。
決して正解ではない親子の形、愛情とは呼び難いこの結びつきをいつくしみと呼ぶのかもしれません。
考察・疑問点
今作は、なぜ父である広志が母の出産中に盗みを働くような行動をとったのか?
なぜここまでだめ人間になってしまったのか?
ここは描かれていません。
渡部いっけいさんの演技から背負ったものを感じ取るしかないです。
ずっと昔、村に車で突っ込んだ時には死に場所を求めていたけれども、 殺されてしまうシーンでは「 死にたくない 」とつぶやいていたことから、
切なくもやっと最期には生きることへの希望を持っていたということなのかもしれません。
まとめ

今作は、何度みてもいい作品だと思いました。
なぜなら、登場人物の感情が全てわかるような単純なものではないからです。
今作のあらすじを見た時、まさか現実に起きたことを題材にしているとは思いませんでした。
今や「 村 」という文化さえ珍しい私たちにとっては、とても奇妙に映ることもありますが、
製作陣の作品への愛情が伝わりました。
親子の形はそれぞれだし、今どき全てが円満な家族の方が少ないと思うんです。
みな歪んでいるけれど、大人になるにつれてその歪みを消化したり、親が死んで初めて消化できたりするもの。
今作を見た人が、それぞれ描く「 いつくしみ 」を感じられるのではないでしょうか?