映画ライフ楽しんでますか? 今回は、ペンネーム@ジョナさんからの投稿レビューです。
直木賞作家・佐藤正午による原作小説は、映像化不可能と言われてきました。
小説表現の可能性を生かした手法や、先の読めない展開の面白さは、映画では発揮できないだろう。
というのが今作を見る前の不安でした。
この記事では、原作と対比しながら、今作の魅力を探ります。
画像の引用元:公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
鳩の撃退法

公開日
2021年8月27日
上映時間
119分
キャスト
- タカハタ秀太(監督)
- 藤原竜也
- 土屋太鳳
- 風間俊介
- 西野七瀬
- 佐津川愛美
- 桜井ユキ
予告編
公式サイト
作品評価
[rate title=”5つ星”]
[value 3]映像[/value]
[value 5]脚本[/value]
[value 5]キャスト[/value]
[value 4]音楽(BGM)[/value]
[value 3]リピート度[/value]
[value 1]グロ度[/value]
[value 4 end]総合評価[/value]
[/rate]
感想レビュー

デリヘルの送迎ドライバーを経て、高円寺(原作では中野)でバーテンをしながら、執筆活動を再開中の、元直木賞作家の津田伸一(藤原竜也)。
「 カイジ(2009)」で演じたダメな男だけど憎めないキャラと、「 22年目の告白(2017)」での食わせ者としての雰囲気をミックスしていて、予想外のはまり役でした。
「 ダイナー(2019)」のバーテン役は、好みでなかったので不安でしたが。
事実は小説より奇なり。
現実なのか、フィクションなのか分からなくなりそうな手法は、ミステリー小説ではお馴染みですが、映像作品となると、ひと工夫が必要となりますね。
今作では、メタ演出を用いることで、その面白さを発揮していました。
「 デッドプール(2016)」でも多用されている、作中人物が、観客に語りかけてくる手法ですが、そのさじ加減が良かったです。
欲をいえば、主要キャラたちの存在感にもっと深みを持たせて欲しかったですが、疾走するエンタメ感を出すには、ちょうど良かったのでしょうか。
原作を読んでイメージを補完するのもありでしょう。
謎が謎を呼ぶ展開の2時間(TENETほどではないです笑)
ラストは、KIRINJIの「 爆ぜる心臓 」が響き渡る中での、印象的なタイトルバック。
作中人物のように、かしわ手で、ゆっくり大きく拍手をしたくなりますよ。
個人的な事柄ですが、作中の架空の小説が、妻の初めて表紙デザインを手がけた小説のタイトル(蝶番)と同じだったので驚きました。
映画や小説はフィクションです。
しかし、時に現実世界に進出してきたり、また現実が虚構内に入り込んだりすることがあります。
今作を見ることになる私(あなた)が、主人公なのです。
まとめ

映像化不可能とされた作品といえば、他に「 アヒルと鴨のコインロッカー(2007)」が浮かびます。
脚本と演出次第でなんでも可能だということを、今作は示してくれました。
映画に不可能はない。もう、そんな時代になったのかも知れませんね。