映画ライフ楽しんでますか?
今回は、ペンネーム(@D)さんからの投稿レビューです。
これまでNetflixオリジナル映画を50本以上鑑賞し、その盛り上がりの多くをリアルタイムで見てきました。
中でも去年配信されたアイリッシュマンは個人的に別格でして、ベストの位置付けでした。
しかし、早くもその記録が更新される作品に出会ってしまったのです。
「 へイター 」は現状、Netfilxオリジナルの最凶映画。
画像の引用元:IMDb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
ヘイター

公開日
2020年7月29日
原題
The Hater
上映時間
136分
キャスト
- ヤン・コマサ(監督)
- マチェイ・ムシャウォウスキー
- アガタ・クレシャ
- ダヌタ・ステンカ
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
感想レビュー

今作はポーランドの映画作家、ヤン・コマサ監督の最新作。
この作品を一言で言うなら、暗黒版「 ソーシャル・ネットワーク 」
ピカレスクロマン最新形。
好きだった点
監督のヤン・コマサのセンスです。
現在みることのできる2作品( ヘイター、リベリオン )を鑑賞した印象です。
ポーランドの社会派映画を得意とし、容赦のないバイオレンスと、アートな映像表現・音楽との融合が特徴的。
なんとなく、ニコラス・ウィンディング・レフン作品を初観賞した時の喜びに似ているような気もします。
へイターの巧みなサスペンス演出はヒッチコックの「 裏窓 」オマージュを感じます。
嫌いだった点
この作品は完璧なので、嫌いな点はないです。
ただし、へイターはヤン・コマサのデビュー作「 ログアウト 」の続編らしいのに、「 ログアウト 」が配信・ソフト化されていない!
日本語字幕付きで見ることができません。
大至急何とかしてもらいたいです。
また、ヤン・コマサの3作品目「 ワルシャワ蜂起 」も見ることができません。
尚、へイターがログアウトの続編と知ったのは、へイターを見た後でした。
へイターを単独で見ても問題はないのですが、気になります。
ヤン・コマサは、フィルモグラフィー全てを制覇したくなる監督です。
見どころ
大物と化していく主人公の闇落ち過程。
「 ソーシャル・ネットワーク 」ではマーク・ザッカーバーグといった実在のSNSの権化、現代のメディア王となっていきますが、今作ではその逆。
最初は、法学部なのにレポートの盗作がバレて除籍になってしまう小悪党でした。
ところが、SNSなどを使って個人や企業のアンチのイメージダウンをする仕事を始めると、女にモテない持ち前のストーカー気質やオタクの裏工作といった才能が開花。
政治の世界まで踏込んでいきます。
実態の見えないその手腕は、大胆かつ用意周到。
悪魔か死神のようなフィクサーです。
ジェシー・アイゼンバーグがマークザッカーバーグにハマり役だったように、マチェイ・ムシャウォウスキーは初めて見ましたが、このキャスティングは素晴らしい。
この悪魔的主人公が中傷しまくった結果、ありがちな話にならない点も意外性があって面白かったです。
考察・疑問点
グロさについては、ヤン・コマサ監督の2作品目「 リベリオン ワルシャワ大攻防戦 」に比べれば控えめです。
しかし、主人公が仕事に用いる「 嘘、盗聴、スパイ活動など 」何でもありの手口は、緊迫感に溢れエグさ満点。
会社の上司から、孫氏の兵法は最恐のビジネス書だから学びなさいと渡されると、その勢いはさらに加速します。
映画「 リベリオン 」では、壮絶な第二次世界大戦末期のナチス占領下のポーランドが描かれます。
むき出しのグロさとアート性をまとった作品です。
今作でもその系譜は引き継がれています。
丁寧に積み上げられた伏線回収かつ、大どんでん返しのクライマックスでその片鱗を体験できます。
この脚本の繊細さ、映像センスの秀逸さには度肝を抜かれました。
まとめ

Netfilxオリジナルベストの最凶映画。
監督のヤン・コマサは、ポーランドの映画作家。
ポーランドのアカデミー賞とされるイーグル賞で作品賞など11部門に輝き、
アカデミー賞国際長編映画賞(旧:外国語映画賞)で、「 パラサイト 半地下の家族 」「 ペイン・アンド・グローリー 」などと争った、
同監督の「 聖なる犯罪者( 日本公開2021年1月15日予定 ) 」が注目されています。
「 聖なる犯罪者 」公開前に、「 へイター 」の鑑賞がオススメです。
ヤバいポーランド映画、ぜひご覧ください。