映画ライフ楽しんでますか?
今回は、ペンネーム@maiさんからの投稿レビューです。
のっぺりとした描き方に、色彩豊かなアニメーション。
絵本の世界のようでもあり、ジェンダーを問いかける冒険譚という芯のある作品で、多くの人が何かを感じ取れるかと思います。
夜空を映した映像はとても綺麗です。
画像の引用元:公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
カラミティ

公開日
2021年9月23日
原題
Calamity, une enfance de Martha Jane Cannary
上映時間
82分
キャスト
- レミ・シャイエ(監督)
- サロメ・ブルバン
- アレクサンドラ・ラミー
- アレクシ・トマシアン
予告編
公式サイト
作品評価
[rate title=”5つ星”]
[value 5]映像[/value]
[value 4]脚本[/value]
[value 3]キャスト[/value]
[value 2.5]音楽(BGM)[/value]
[value 3.5]リピート度[/value]
[value 0]グロ度[/value]
[value 3.5 end]総合評価[/value]
[/rate]
感想レビュー

今作は、実在する女性ガンマンの少女期の冒険譚を描いたものです。
その中で「 女性だから 」「 男性だから 」という理由で制限を受けるシーンがあるのですが、ここで観客側はそのもどかしさを感じるのではないかなと思います。
どんなに頑張ろうと思っても、そもそも「 女性 」という性のために挑戦する機会すら与えてもらえない。
そこに疑問を呈する形になっている主人公の問題行動が、ジェンダー問題を浮き彫りにしていく脚本が見事だったと思います。
ジェンダー問題というだけでなく、少女の成長物語でもあり冒険譚ともなっているという、二重三重の魅力があるのも特徴です。
しかし、脚本や映像の魅力の一方で、登場するキャラクターの魅力が薄いというのは気になりました。
自分のプライドや都合が最優先事項になっているあまり、かなり自分中心の人が多い印象です。
もちろん、当時の社会を描いた作品でもあるわけですから、実際はこういう感じなのだろうと思うのですが、それでももう少し主人公の気持ちに最後まで寄り添ってくれる人物や、
あくまでも1人の人としてみんなを平等に扱う人などがいてくれるとより良くなるのになと思いました。
全体的にギスギスした雰囲気が流れていて、主人公の逞しさは際立っていいのですが、好きになれるキャラクターが少なくてほっとするシーンももう少し欲しかったなと思います。
全体的に話が長く感じてしまったので、短編として最長でも30分程度に内容を凝縮できたならば、より印象に残るセンセーショナルな作品になったのではないかなと思います。
話が男の子や役人、女性などに移るなど、少しだけ内容がボヤっと曖昧になるシーンがあったように思います。
前作の「 ロング・ウェイ・ノース 」が好きな方は気にいると思いますし、そこに加えられていくカントリー調の懐かしさや郷愁を感じる音楽も素敵でした。
「 大人に刺さる映画 」を目指して作っていると思うのですが、子供が見ても楽しめる作品になっていると思います。
最近は考察などを狙ったアニメーション映画が多く、大人も子供も見れる作品は意外と少ないなと思っていたので、
このようにメッセージ性もありつつ、アニメーションとしての役割を果たしている作品は非常に貴重だと思います。
きっと多くの方が、昔のジェンダー観と今のジェンダー観を比べて、その変わらない点や、改善している点に想いを馳せることだと思います。
全ての人が避けられないジェンダーに関することだからこそ、性別年代を問わずに多くの人に届けられる作品になっています。
まとめ

「 ロング・ウェイ・ノース 」という評判の良い前作の次作ということでしたが、期待を裏切らない素敵な作品でした。
多くの人に見てほしい作品です。