映画ライフ楽しんでますか?
今回は、ペンネーム@ジョナさんからの投稿レビューです。
第一印象は、動く絵本。
アニメーションの構図が、どれを切り取っても映えるクオリティで、鮮やかな色彩の美しさが動くという贅沢にどっぷり浸かれます。
日本のジブリが作り上げたアニメの土壌を、フランスの新たなアニメ手法で切り拓いていくようにも感じました。
この記事では、今作の魅力について考えます。
画像の引用元:公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
カラミティ

公開日
2021年9月23日
原題
Calamity, une enfance de Martha Jane Cannary
上映時間
82分
キャスト
- レミ・シャイエ(監督)
- サロメ・ブルバン
- アレクサンドラ・ラミー
- アレクシ・トマシアン
予告編
公式サイト
作品評価
[rate title=”5つ星”]
[value 5]映像[/value]
[value 4]脚本[/value]
[value 3]キャスト[/value]
[value 4]音楽(BGM)[/value]
[value 3]リピート度[/value]
[value 1]グロ度[/value]
[value 4 end]総合評価[/value]
[/rate]
感想レビュー

アニメーションの新たな境地を拓く試みが、西部開拓時代のストーリーと重なります。
特にこれまでのアニメと毛色が違うのは、線の描きかた(まるで佐々木マキの絵本)。
主線がなく、平坦な絵でありながら、陰影の付け方が鮮やかでした。
構図の斬新さと無駄のなさは、どのシーンを切り取っても額に入れて飾れるほどのクオリティ。
それらの要素が合わさることで、二次元の絵が立体的に、実写以上の滑らかさで動き回っていました。
シンプルな作画に込められた、豊かな表情が、今作の最大の魅力でしょう。
アニメーションの原点回帰を目指しながらも、新しい可能性を広げています。
わたし自身、かつて画家を志し、3年間通信制のヤングアーティストコースを受講していました。
まさに最初の課題が、シンプルな色でシンプルな構図を作成するというものでした。
その時に、悩みに悩んで作品を描き上げた経験があるだけに、今作の90分に及ぶアニメ作画の一コマひとこまの凄みに圧倒されました。
ストーリーにおいては、アメリカ西部開拓時代の伝説の女性ガンマンであるマーサ・ジェーンの物語を扱っています。
「 トイ・ストーリー(1995) 」のジェーンのモデルでもありますね。
昨今、女性の視点で男性中心の社会に対して異論を唱えた名作が、ヒットしています。
「 ワンダーウーマン(2017) 」
「 82年生まれ、キム・ジヨン(2019) 」など。
今作でも、女性は女性らしく!
女性のズボン着用や乗馬は、恥ずかしい! とされているコミュニティの中、ジェーンが自らの長い髪を切って少年のような行動を取ることで、その価値観に異議を申し立てます。
しかし、周りに同調できず浮いてしまうことで、コミュニティー(旅団)を危機に追いやっていまい、疫病神(カラミティー)扱いされてしまいます。
カラミティーと揶揄され追放された主人公は、冒険を重ね、旅団の危機を救う救世主として帰還します。
余談ですが、かつて英国の封建社会で、女性の自立を勝ち取った女性の名前もジェーンでしたね(シャーロット・ブロンテ原作「 ジェーン・エア(2011)」)
語り部としても才能のあるジェーンの姿は、「 この茫漠たる荒野で(2020) 」のキャプテン・キッド(トム・ハンクス)が町々でニュースを語り聞かせる姿とも重なりました。
同じ西部開拓時代を描いた映画では「 荒野の七人(1960)」のリメイクである「 マグ二フィセント・セブン(2016)」もオススメです。
では、子どもたちと一緒に見るオススメの西部劇映画は?
迷わずに今作をオススメします!
少女の成長物語を楽しみ、エンドロールでは、子どもたちと一緒に「 カラミティー・ジェーン 」を歌いましょう。
まとめ

第一印象は、動く絵本。
観賞後の感想は、素晴らしい旅行の余韻。
西部劇作品としても楽しめましたが、独特なアニメのタッチは、見る人を新しい世界に誘(いざな)ってくれるでしょう。
ディズニーでも、ジブリでもない、レミ・シャイエの世界へ。
雄大で、繊細で、ワクワクするような初めての旅へ。