【 Netflix 】「 僕らをつなぐもの 」考察レビュー
物語の主人公は、2人の父親を持つ青年レオネ。
同性婚をした父親たちのことを隠してもいないし、2人の父に心底愛された素直で心優しい青年だ。
学校の課題で自分の両親のドキュメンタリーを制作することにしたが、交際20周年を目前に、突然父親の片方シモーネの浮気が発覚する。
画像の引用元:IMdb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
僕らをつなぐもの
公開日
2022年3月4日
原題
Il filo invisibile
上映時間
90分
キャスト
- マルコ・ポッチオーニ(監督)
- フィリッポ・ティーミ
- フランチェスコ・シャンナ
- フランチェスコ・ゲギ
- マッテオ・オスカル・ジウジョッリ
- ジュリア・マエンザ
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
近年観た中でダントツに素敵な映画だった。
2人の父親をもつ青年のすったもんだを描いたコメディ映画かと思いきや全く違う。
よく聞くようになったLGBTQを意識した社会的な映画とも違う。
そんな枠組みを意識すること自体がオカシイのだと。
ビンタを食らわせるような内容の物語で、ホッコリと温かくなりつつも、現実の描写には切なさも感じさせる。
今作はイタリア映画だが、イタリアといえばカトリック総本山のバチカンが有名で保守的なイメージを持つ人も多いだろう。
同性愛者を未だにタブー視している人たちが多いのも事実。
今作ではそこにも少し触れている。
2人の父親の内、どちらがDNA鑑定をもって本当の父親とするのか?
本人たちの意思に関係なくそれを求められるのだ。
ちなみにイタリアでは、2016年同棲カップルに結婚に準じた権利を認める「 シビル・ユニオン 」が可決されたが、養子縁組の権利は削除されている。
話を戻すと、赤ん坊(レオネ)を迎え家族になった当初、2人の父は30代前半。
夢を追い続けるのはひとまず止め、以来15年ちかく子育てに専念してきた。
後悔も多かったかもしれないが、彼ら2人の最後の言葉を聞くと息子の存在が夢と同じくらい、もしくはそれ以上の存在となって2人を突き動かし、生活に彩りを持たせていたことが分かる。
DNAで明らかになることは多いが、それが全てじゃない。
それがどうした、僕たちは家族だ。
これからもずっと。
その強い想いが作品からヒシヒシと伝わってくる。
彼ら男夫婦は互いに配慮が欠けてしまった結果、このような結末を迎えた。
縁があって家族となったわけで、その繋がった縁は簡単に切ることは出来ないという描き方も良い。
テンポよく物語がポンポン進んでいくので、90分という時間が本当にあっという間に過ぎていく。
もし2時間弱の時間ができたら、是非この映画を観てほしい。
1時間程度の時間しかなくても、この映画を観るためにあと30分どうにか都合をつけてほしい。
まとめ
同性愛者に関係なく、どの家族にも問題は山積みだ。
それを表に出していないだけで、きっと、の夫婦にも家族にも抱えているものがあるはず。
劇中で彼らに理解のない人間が「 うちは普通の家族なの!」と叫ぶシーンがあるが、普通なんてどこにもないことを気付かせてくれる作品だろう。
素晴らしいエンドクレジットまで見届けてほしい。