
ジャン=ピーエル・ジュネ監督が人間+旧型AI vs 最新AIバトルを描いた社会風刺SFブラックコメディ。
B級臭プンプンだけどホロリと泣けて考えさせられます。
画像の引用元:IMdb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
ビッグバグ


公開日
2022年2月11日
原題
Bigbug
上映時間
111分
キャスト
- ジャン=ピエール・ジュネ(監督)
- イザベル・ナンティ
- エルザ・ジルベルスタイン
- クロード・ペロン
- ステファン・ドゥ・グルート
- ユーセフ・ハイディ
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー


AIと暮らす生活にしては、アリスの家の家具家電、小物、色使いはレトロフレンチでエモくて、全体から木のぬくもりを感じられる温かみのある家だ。
アリスの家にはさまざまなAIがいるけれど、どれも旧式で、彼女がほどほどの便利さとアンティークと人間味のある生活を愛していることが伝わってくる。
そんなアリスは若者からみればクールでないけれど、AIがKYな言動をしても彼らに対して礼節を守っている。
そんな人間らしさを大切にしているアリスの家ならば、AIと共存する近未来で住んでみたいと期待が膨らんだ。
前半、アリスが異常なまでに焼いた虫を食すことを好み、他人にも勧めまくりな描写がまさかテロリストの伏線とは驚かされた。
コンピュータ言語の「 バグ 」は「 入り込んだ虫 」=「 プログラムに含まれる誤り 」という意味だから、アリスの体内は食べ続けた虫でいっぱいで誤作動だらけ。
しかも他人まで勧誘しちゃってるからテロリストってことかと爆笑。
ヨニクス事件が起こったことで自分たちはヨニクスとは違う、人間側につきたいと願い
感情を理解しようとする旧型AIたち。
失敗することすら人間らしいと憧れ、人間に信用してもらいたいと努力を重ねる。
その時点で、彼らは感情を理解していると言えるのではないだろうか。
昨今のAI反乱ものは、すぐに人間を殺す展開が多い中、本作での旧型AIたちの言動のいじらしさに温かい気持ちにさせられ、モニークの最後の行動にホロリと泣かされた。
まとめ


利便性をAIに頼った結果、歴史的建造と共存する美しいフランスの街並みが情緒も美しさも皆無の街となり、人々はタケコプター並に不安定な空飛ぶ車を持つことがステータスになっている。
家の中にいても外から通販AIが大声で個人情報を叫びながら勧誘してくる。
勿論、AIと違い、完璧な人間などいないから、ヨニクス基準でみるとプライベート空間である家での生活は法律違反だらけになってしまう。
ジュネ監督に「 世の中便利になるばかりがすべてじゃない。不便さの中にある尊さもある。」と言われているようだ。
映画なんてまさに過去に遡っていくことに価値を見出すものなので、明らかに使いにくい最新技術がメディアで騒がれ、持つことがステータスとなりがちな世の中へユーモアの効いた警鐘となっている。