映画ライフ楽しんでますか?
今回は、ペンネーム@ジョナさんからの投稿レビューです。
個人的な話ですが、先月からヒトラーの「 わが闘争 」を読み進めています。
いうまでもなくバイブルとしてではなく、批判的精神を持つために。
今作では、反ファシズム(ANTIFA)の学生団体に入った女子大生の目を通して、現代ドイツの現実を浮き彫りにしています。
日本に住む私たちは、政治問題に、無関係(無関心)でいられるでしょうか?
反ナチス映画を紹介しながら、考えてみます。
そして明日は全世界に

公開日
2021年5月6日
原題
Und morgen die ganze Welt
上映時間
111分
キャスト
- ユリア・フォン・ハインツ(監督)
- マーラ・エムデ
- ノア・ザーヴェトラ
- トニオ・シュナイダー
予告編
なし
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
感想レビュー

好きだった点
主人公ルイザが、ブルジョア(上流階級の白人で父が男爵)出身の法学部であり、過激な左翼団体に戸惑いながら入っていき、徐々にのめり込んでいく様子がリアルでした。
監督自身の実体験をもとに脚本が書かれているのも関係しているのでしょうね。
撮り方も擬似ドキュメンタリーの手法を用いているため、ルイザがデモでの不快な体験を回想するシーンまで、フィクションだと気付きませんでした。
ネオナチやオルタナ右翼、レイシスト(人種差別主義者)たちが、ジワジワと力をつけ始めているドイツのリアルを描くには、リアリズムの手法が最適なのでしょう。
嫌いだった点
本筋とは関係ありませんが、字幕に誤字を発見してしまったこと。
クライマックスのシーンで、登場人物が「 ふざけるな! 」と叫ぶのですが「 ぶざけるな! 」となっていて、作中に入り込んでいたのが、我に返ってしまいました。
これは私自身の(もとの)職業病かも知れません(10年間、日本語の答案を採点していました)
ちなみに、今日だけでもtwitterの文章をコピーしたら「 クリップボードにコビーしました 」と表示が出ることや、大ベストセラーの新作SF小説の誤字を発見してしまい、出版社に知らせて、返事をもらったところです(笑)
見どころ
主人公の葛藤が見どころです。
もともと無関心だった若者が政治活動にのめり込むのを、一度は通る道として描いています。
作中で、とある元過激派の人物が「 左翼でない30歳未満の人には心がない。そして40歳以降でまだ左翼をしている人には脳がない 」と話した言葉が、印象に残りました。
考察レビュー
ドイツでは、2度とファシズムが台頭しないために、様々な法律や団体、たくさんの芸術作品などが生み出されています。
反ナチス映画は「チャップリンの独裁者(1940年)」以降、数えきれないほど作られていますが、いくつかお勧めの作品を挙げておきます。
- ワルキューレ(2008年)
- 悪童日記(2013年)
- ライフ・イズ・ビューティフル(1998年)
- 戦場のピアニスト(2002年)
- イングロリアス・バスターズ(2009年)
- 帰ってきたヒトラー(2015年)
さて、日本は(ナチスやファシズムとは)無関係でしょうか?
日本では戦時中、ヒトラーを英雄ともてはやし、戦後になり極悪な犯罪者と称したことから、第二のヒトラーが現れたときに、無関係とはなり得ないでしょう。
現役の政治家が「 ナチスに学べ 」と発言したり、権力者がメディアを欲しいままに牛耳っている昨今、わたしたちが無関心にならずに、情報や発言のファクトチェックをすることで、最悪の状況を防げるのだと考えます。
まとめ

半世紀前(1969年)に、「 政治の季節 」が終わったとされていますが(「 三島由紀夫vs東大全共闘(2020年)」など)、今こそ若者たちが怒る(立ち上がる)べき。
特定秘密保護法や憲法改正に反対して立ち上がった、学生団体「 SEALDs 」が解散したのは、たった5年前。
今作を見ながら思い出したのは、日本の未来を訴えていた、若々しい彼らの姿だったのです。