こんにちは、Johnです。
映画ライフ楽しんでますか?
今回は、ペンネーム(@ayahhi)さんからの投稿レビューです。
東京という街で交差する階層の違う女性2人の人生。
やりきれない現実もちゃんと受け止めて、自分の足で歩いていこうという勇気を授けてくれる作品。
画像の引用元:公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
あのこは貴族

公開日
2021年2月26日
上映時間
124分
キャスト
- 岨手由貴子(監督・脚本)
- 門脇麦
- 水原希子
- 高良健吾
予告編
公式サイト
作品評価
[rate title=”5つ星”]
[value 4]映像[/value]
[value 5]脚本[/value]
[value 5]キャスト[/value]
[value 3]音楽(BGM)[/value]
[value 4]リピート度[/value]
[value 4]グロ度[/value]
[value 4 end]総合評価[/value]
[/rate]
感想レビュー

好きだった点
主人公のみずみずしさや、心の美しさ、たくましさが好きです。
それらが作品全体に爽快感をもたらしています。
邦題から「 自分ではどうにもならない生まれ によって人生が決まる 」という社会のリアル、宿命などの救いのない話をイメージしていましたが、見事に裏切られました。
同じ1人のハイスぺック男性(雄一郎)に裏切られた主人公の女性2人(1人は東京のお嬢様=華子、もう1人は地方出身者のバイタリティあふれる女性=美紀)が、
いがみ合うのではなく、友情や連帯感を感じ、男性に振り回されずに自分の人生を歩んでいく描き方は新鮮で希望があります。
特に好きだったのは、理想の相手である雄一郎と結婚したものの、生き甲斐のない生活に自分を見失った華子が恋に破れて起業し、忙しく動き回る美紀の部屋を訪れるシーンです。
「 ここは落ち着く。ぜんぶ、美紀さんのものだから 」という言葉。
後ろ盾のない心細さはあるけれど、自分の力で1つ1つ大事なものを集めて、ひたむきに育てるという美紀の生き方に共感するし、
それを「 落ち着く 」と表現する華子の感性も好きだなと思いました。
嫌いだった点
違和感があったのは、お金に余裕のあるはずのない美紀の部屋が、東京タワー間近だという設定です。
「 東京の象徴 」という演出ではあるのですが、せっかく良いシーンなのに説得力に欠けました。
まさにこの作品の重要キーワードである「 階層 」や「 搾取 」は、落ち込むような嫌な気分になります。
一部の階層の高い人たちのために、持たざる者が搾取され続けるという社会の現実を突き付けられるのは辛いです。
しかし、やはり現実として知っておくべきことだと思います。
それこそが映画や小説といった身近に触れるカルチャーの中で、描かれて然るべきことだと思いました。
その上で「 自分がどんな人生を歩んでいきたいか 」については、ボンヤリしてさえいなければ、自分で選ぶことはできると、
この作品は示していたと思います。
見どころ
なんといっても、2人の主人公(華子と美紀)の魅力です。
婚約者(華子)がいるのを隠され、雄一郎からのヒドイ扱いを受けながらも、雄一郎と華子を恨みもせず、親友と起業し自分の人生をひたむきに歩もうとする美紀。
箱入り娘である環境に甘んじず、将来を約束された雄一郎との離婚もいとわず。
自らの意思を持ち、それを守ろうとする華子。
2人ともタイプは違いますが、けなげでたくましいです。
真摯に人生と向き合っていて、応援したくなるし、自分もそんな風にありたいなと思いました。
考察レビュー

今作は小説が基になっており、原作者の山内マリコさんが「 女性の分断が進む中、本当は女性同士で連帯できると示したかった 」と語るように、
これまでのステレオタイプである「 女の敵は女 」ではない新たな本質的な視点をうまく表現していたと思います。
「 独身だからって子どもが嫌いと思われるのが悔しい 」と子どもをあやしたり「 男は浮気して、女は嫉妬していがみ合うのが当たり前なんておかしい 」という台詞だったり。
所属や立場によって、どんな人間かを勝手に判断されたり、行動を決められたりするなんてマッピラという思いがひしひしと伝わり、とても共感しました。
離婚を決め自分の意志で職業を選び、少しずつ自分の人生を歩き出した華子が、決別したと思われた雄一郎と再会したとき、どうして心ときめいている様子だったのか?
雄一郎もまた、華子を愛おしそうに見つめていたので、これは新たな人生を踏み出した2人が本当の意味で出会いなおしたということなのかな?
まとめ

階層や格差を描きながらも、常識や属性にとらわれない、新しい時代を新しい心意気で切り拓いていくのだという姿勢を感じる爽快感あふれる良作でした。
現代に生きづらさを感じる沢山の人たちに勇気や希望をもたらすであろう1本です。