今回は、ペンネーム@リリヲさんからの投稿レビューです。
2021年の第93回アカデミー賞はコロナ禍ということもあり、ネット配信映画が強かった。
そんな、いつでもどこでも楽しめるネット配信映画の中から、アカデミー賞短編アニメ賞を獲得したNetflix作品「 愛してるって言っておくね 」をご紹介します。
アメリカで多発している学校での銃乱射事件を扱った作品で、たった12分の短編ながら心に突き刺さる度は長編以上です!
愛してるって言っておくね

公開日
2020年11月20日
原題
If Anything Happens I Love You
上映時間
12分
キャスト
- ウィル・マコーマック(監督)
- マイケル・ゴビア(監督)
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
感想レビュー

好きだった点
何これ切ない!
うっかりピクサー短編のように長編映画前にセットで観させられたら切り替えられないくらい切ないです。
銃声や叫び声はあるけど、台詞はないのでサイレント映画の部類に入るのかな?
夫婦のキャラクターデザインが日本人なのかな?と思うくらいアジア系な絵柄で、その繊細なタッチがキャラクターの心情に寄り添っています。
劇中歌であるMARKSの「 What Did I Ask For 」も、夫婦の悲しみを切なく優しく包み込んでいて心に沁みます。
見どころ
「 If anything happens I love you 」の言葉の意味たった12分の中にちゃんと驚きが隠されている。
鑑賞前は「 愛してるって言っておくね 」は親から子へなのか?
子から親なのか?
両者なのか?
と想像していましたが、クライマックスでそれが明かされた時の切ない衝撃たるや。
世界中で多発しているテロ現場や学校での銃乱射事件では、この衝撃が多発してるのだなとあらためて落ち込みました。
物語から読み取れる夫婦の心情は、「もっと愛してるって言っておけば良かった」。
学校へ行く娘を必死で引き留めようとする影も後悔で満ちていた。
家の中も外も、ミートボールパスタも物置の穴も洗濯物も、どこへ逃げても娘の気配で満ちあふれている。
その中でこの夫婦は悲しみとともに生きていかなければならない。
娘との思い出が詰まった家を売却するなんて出来るはずもないのだから。
よく遺された側は「 ◯◯ が生きていたら喜ばないだろう 」という言い方をするが、本当に魂の欠片を感じる瞬間があるのかも知れないと今作を見て感じた。
その魂とは、遺された洗濯物やレコードを唐突に発見してしまうことも含まれ、それらは一概に偶然とは言えないのかも知れない。
まとめ

月並みな言い方になるが、どんなに悲しいことが起こったとしても、それまでの楽しかった記憶、家族で夕焼けを見て感動した思い出は決して色褪せない。
人間は過去の記憶で構成されている生き物なのだから、そのかけがえのない記憶は、長い時間をかけて夫婦の生きる糧となっていくはずだ。
ただよう虚無感の中でも、そう思わせてくれる作品だった。