誰のもとにも降り注ぐ、ヴァカンスがもたらす恋のまやかしと友情の深まり、そして成長を温かく描いた、いわば「移動しないロードムービー」。
画像の引用元:IMdb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
みんなのヴァカンス
あらすじ
公開日
2022年8月20日
原題
A l’abordage
上映時間
100分
キャスト
- ギョーム・ブラック(監督)
- エリック・ナンチュアング
- サリフ・シセ
- エドゥアール・シュルピス
- アスマ・メサウデンヌ
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
好きだった点
登場人物のキャラクター設定が絶妙だったと感じます。
世慣れして恋愛に積極的なフェリックス、秀才タイプで「 いい奴 」から抜け出せない親友(シェリフ)という黒人男性2人と、不器用で女性慣れしていない白人男性(エドゥアール)。
彼ら3名が、だんだんと信頼を紡いでいく感じにほっこりと心温まります。
キャンプ先の出来事なので、移動しないロードムービー、とでも形容できるかと思います。
共通の出来事に遭遇し、それぞれの気持ちや行動が変化するという、映画として描くには最も面白い要素のひとつが豊かに描かれていると思います。
嫌いだった点
シェリフが「 負け組 」という言葉を進んで使ってしまう点です。
もっとも、それが現実であり、彼の責任ではなく社会の構造上の問題でもあるのですが、やはりやりきれない気持ちにはなります。
しかし、最後にはアッと驚く展開になるので、あえてそういう言葉を使って「 負け組 」と印象付けていたのかと思うと
見事にやられたという爽快感もあります。
「 シェリフのその後 」という続編も見てみたいです。
考察レビュー
本作は、ギヨーム・ブラック監督がフランス国立高等演劇学校の学生たちと制作しており、俳優は長篇映画に出演するのが初めての学生たちだそうです。
そのせいもあってか、「 現代版ヴァカンス映画 」という印象を受けました。
数年前までは、フランスのヴァカンス映画に黒人が登場することはまずなかったのではないかと思います。
そうした配役が、昨今のポリティカルコレクトとしての「 配慮 」のようないい子ぶったものではなく、彼らの内面や現実をきちんと描き、
自然な形で主人公に据えているところに好感が持てます。
まとめ
「 夏のヴァカンス 」が制度として確立されているフランス。
どこにも出かける予定がない人は心配されるという程「 ひと夏の経験 」が、ある意味システム化されているのはシンドイようにも感じます。
しかし、そうした経験を通して成熟した大人になるのだな、と感じる見守るようなまなざしで楽しむ一作でした。