【 実話のあらすじ&キャスト 】「 1640日の家族 」ネタバレなし考察レビュー
愛する里子(シモン)を実の親に返さなくてはいけない。
それは生木をはがすような痛み。
「 愛しすぎないこと 」という言葉をかみしめ、子育ての深淵さにうなる一作。
画像の引用元:IMdb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
1640日の家族
公開日
2022年7月29日
原題
La vraie famille
上映時間
102分
キャスト
- ファビアン・ゴルジュアール(監督)
- メラニー・ティエリー
- リエ・サレム
- フェリックス・モアティ
予告編
公式サイト
あらすじ
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
優れている点
全ての役柄に感情移入をしてしまうほど、俳優たちの演技が素晴らしいです。
子どもに日々愛情とエネルギーを注いで一緒に暮らしていたら、どんな大人でも少しくらい独占欲が働いてしまうのも無理ないなと思いました。
シモンと愛ある別れをしなくてはいけないという切なさは、耐えられないものがありますが、だからこそ人間としてひとまわり成長をとげる里親一家に頼もしさも感じます。
好きではない点
疑問だったのが、里親であるアンナが里親によって賃金を得ているのか?ということでした。
調べたところ、フランスでは里親は国家資格で、職業としても成立しているようです。
アンナが夫に向かってシモンの世話を「 私の仕事よ!」というシーンがあります。
家族なのだから、夫も妻も平等にシモンに接するべきでは?と思いました。
実際、夫はシモンのことを「 君 」と呼び、やや距離を感じます。
もちろん賃金が目当てのはずはありませんが、そのせいで接する度合いが変わってしまうということは十分あり得ると思います。
無視できないリアルな問題だと感じました。
監督の体験記
ファビアン監督の両親が、里子を4年半受け入れて育てていたというエピソードが映像作品に生かされている。
彼の誠実さを感じる、リアルで真摯な作品です。
里親から離れたことで愛情を失ってしまうことが最も心配ですが、監督自身がこうして「 かつて注がれた愛情 」を失うことなく、成熟した大人として作品を発表しているのは救いです。
愛情たっぷりに育てられたからこそ、どこでも生きていけるシモンと監督を重ね合わせました。
「 ゴールは実親の元で幸せに暮らすこと 」という理念を譲らない、里子制度のドライさもまた現実を描いていると感じます。
こうした制度が、必要とする人以外にも広く知られるべきだと思いました。
まとめ
「 愛しすぎない 」ということを、どれだけ実践できている親がいるでしょう。
適度に手放し、大人のエゴを持ち込まない子育ては決して簡単ではないです。
すべての大人に「 あなたはできますか?」と問うメッセージ性の強い作品でした。